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"作品賞"編:第95回 米アカデミー賞 大予想!!

3月13日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。

最高峰の映画の祭典の開催まで、残り2日
そんななかで今回は、オスカー主要6部門の中の一つであり、最高の栄誉、作品賞の予想をしたいと思います!

各部門のノミネーション一覧はこちら。


本命:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下『エブエブ』)が、大大大本命!!!

ぶっ飛んだストーリーながら、とにかく面白いっ!
もう…その「面白いっ!」の一言に尽きます。

またアジア系の俳優が主要キャストを固めているのも、最有力の一因。数年前までアジア系俳優を無下にしてきたハリウッド業界の”変革の象徴”としても、作品賞の受賞が期待されます。

作品賞のほか、助演女優賞・衣装デザイン賞・作曲賞・脚本賞・助演男優賞・歌曲賞・編集賞・主演女優賞・監督賞の、今回最多10部門11ノミネーション獲得。
衣装デザイン賞、脚本賞、助演男優賞、編集賞、主演女優賞、監督賞でも受賞を果たすと考えられ、”エブエブ無双”が期待されます。

対抗:『西部戦線異状なし』

かつて一度ハリウッドで映画化された『西部戦線異状なし』を、Netflixのもと、本国ドイツ製作で再映画化した作品。

第一次世界大戦における無残な戦いのシーンを、美しくも残酷な映像で描きました。そしてその物語は、悲しくも現代社会と通ずるものがりました…。

英国アカデミー賞を受賞した今作は、芸術性の点で考えればおそらく10作品の中でNo.1の出来だと思われます。

作品賞のほか、サウンド賞・作曲賞・脚色賞・国際長編映画賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞・美術賞・撮影賞・視覚効果賞にもノミネート。サウンド賞と国際長編映画賞、それに撮影賞は確実。他と競合するかもしれませんが、おそらく脚色賞と美術賞も最有力といっていいでしょう。

対抗:『フェイブルマンズ』

スティーブン・スピルバーグの自伝的物語『フェイブルマンズ』が、作品賞ノミネート。スピルバーグ作品の作品賞ノミネートは、これで2年連続13本目となります。

スピルバーグ自身、自らの”記憶”と語る今作。
両親への想い、青春時代の絆、そして映画への愛が詰まった物語を、スピルバーグらしい映画展開で魅せてくれました。

作品賞に加え、作曲賞・脚本賞・助演男優賞・美術賞・主演女優賞・監督賞にもノミネート。ゴールデングローブ賞で脚本賞を受賞していることで、アカデミー賞でも同賞の受賞が有力視されますが、どうでしょうか?

単穴:『トップガン マーヴェリック』

トム・クルーズ主演・製作で、36年振りの続編として満を持して公開された『トップガン マーヴェリック』が、2022年最高興行収入の看板を背負って作品賞ノミネート!

個人的には、今回のノミネーションで最もアガッたノミネーション。例年、大衆的な映画を敬遠する傾向があったオスカーですが、コロナ禍後の映画館興行の復活を導いたこの作品が無視されなかったのは、とても価値のあることだと思います。

期待薄ではありますが、もしも作品賞を受賞してトム・クルーズがオスカー像を壇上で掲げるようなことがあれば、それはもう…”超超超”歴史的瞬間になるでしょうね!

また、歌曲賞にノミネートされたレディ・ガガのパフォーマンスにも注目。そのほか、サウンド賞・脚色賞・編集賞・視覚効果賞にもノミネートされています。

単穴:『逆転のトライアングル』

昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した『逆転のトライアングル』も、作品賞にノミネート。

欲にまみれた人間模様を、沈没する豪華客船を舞台に怒涛どとうの勢いで描く傑作コメディ。

スクリーンが一時ゲロだらけになるなど超絶ブッ飛んだ作品ですが、その分 面白さは抜群。今回の作品賞10作品のなかで、個人的には一番好きだった映画です。

作品賞に加えて、脚本賞・監督賞の主要部門にもノミネートされています。

穴:『イニシェリン島の精霊』

ゴールデングローブ賞作品賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞したマーティン・マクドナー監督作『イニシェリン島の精霊』がノミネーション獲得。

描かれるのは、突然に絶交した二人の男の物語。
あやふやな描写が続くなか、実力派俳優達の演技による微妙な人間関係の揺らぎを感じ、「次に何が起こるか?」と常に緊張しながら映画に見入ってしまいました。

そのほか、助演女優賞・作曲賞・脚本賞・助演男優賞・編集賞・主演男優賞・監督賞にノミネート。前哨戦で善戦している脚本賞と、主演を務めたコリン・ファレルへの主演男優賞が期待されますが、他との競合で受賞は微妙なところですね…。

穴:『TAR/ター』

※日本語字幕のないトレーラーです。

ケイト・ブランシェットが天才指揮者を熱演した『TAR/ター』も、作品賞にノミネート。

とにかく「ケイト・ブランシェットの演技が凄いっ!」というのが、もっぱらの噂。主演女優賞にもノミネートされ、ミシェル・ヨーとどちらがオスカー像を手にするか注目です。

日本では5月に公開予定の今作。
そのほか、脚本賞・編集賞・撮影賞・監督賞の6部門ノミネートです。

大穴:『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

※日本語字幕のないトレーラーです。

クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ルーニー・マーラ、フランシス・マクドーマンなど、実力派俳優が集結した『ウーマン・トーキング 私たちの選択』が作品賞にノミネート。

架空の村を舞台に性被害にあった女性たちが、自らの未来のために話し合いを重ねていく姿を描いたドラマです。

今回の作品賞で、最大のサプライズだった今作。ノミネートのアナウンスメント時には、最も大きな歓声が上がりました。

日本では今夏に公開が決まっているこの作品。作品賞に加えて脚色賞にもノミネートされています。

大穴:『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

映画界に3D革命をもたらした前作『アバター』(2009)から13年の時を経て公開された『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、二作連続でアカデミー作品賞ノミネート。

とにかく、3D映像が凄すぎる今作。
ジェームス・キャメロンの執念が生んだ今シーズン最大のヒット作です。

そのほか、サウンド賞・美術賞・視覚効果賞にノミネート。
視覚効果賞は確実でしょう。

大穴:『エルヴィス』

エルヴィス・プレスリーの生涯を『ムーラン・ルージュ』(2001)や『華麗なるギャツビー』(2013)で知られるバズ・ラーマン監督で映画化した『エルヴィス』

ラーマンらしいギラギラ感全開で贈る”伝説のロックンローラー”の人生でした。

個人的にはあまり刺さらなかった今作ですが、おそらくワーナーの猛プッシュもあり、作品賞に加えて衣装デザイン賞・サウンド賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞・美術賞・編集賞・撮影賞・主演男優賞にもノミネート。
可能性がある賞とすれば、前哨戦で善戦している主演男優賞のオースティン・バトラーでしょうかね。確かに、カッコ良かった…。

前哨戦の結果

●ゴールデングローブ賞
⇒ドラマ部門
『フェイブルマンズ』
⇒ミュージカル・コメディ部門
『イニシェリン島の精霊』
⇒非英語作品賞
『RRR』


●全米映画俳優組合賞(SAG Awards)
キャスト賞
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

●英国アカデミー賞(BAFTA)
⇒作品賞
『西部戦線異状なし』
⇒英国作品賞
『イニシェリン島の精霊』
⇒非英語作品賞 
『西部戦線異状なし』

前哨戦では綺麗に受賞作が分かれてしまいましたが、下馬評では『エブエブ』が圧倒的に優勢。全米映画俳優組合賞での受賞スピーチでも観ましたが、やはりアジア系キャストがオスカーの壇上に集結する姿が一番カッコイイように思えますから、期待してしまいます。

ちなみに余談ですが、ゴールデングローブ賞非英語作品賞を受賞した『RRR』はアカデミー賞では歌曲賞に”NAATU NAATU”がノミネートされ、最有力候補。生パフォーマンされるということで、超楽しみですっ!


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