Visualizationに込めた思い~『東京新聞』2022年11月13日別刷に寄せて

はじめに

『東京新聞』に、前回の参院選選挙区データを使った一票の格差に関する記事がドカンと出ました。(サンデー版別刷り1面・8面ぶち抜き)

今日(2022年11月13日)『東京新聞』を120円で買うと別刷りも手に入りますが、A2版300円でこの後も販売するようです。(大図解◆学校の教材に役立つシリーズNo.1586とされており、A3版10部500円の教材用も結構売れてるみたいです。)

文章は一票の格差訴訟を主導する升永英俊弁護士のものですが、試算とvisualizationのお手伝い(名前も出ております)をしておりますので、visualizationに込めた思いなどを記しておきたいと思います。

“県”と“県”の平等ではなく“人”と“人”との平等

一票の格差訴訟を主導するもう1人の弁護士、伊藤真氏が一番大事に思っている憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。」に繋がると思っていますが、大きなグラフの横軸は、各選挙区が同じ幅ではなく、有権者数に応じた幅を持つグラフにしてあります。比較の対象が選挙区ではなく、有権者であることが明確になっています。

“議員主権”ではなく“国民主権”

一票の較差は、通常、記事上部のコラムにある様に、1:3.03といった、議員1人あたりの有権者数で表現されますが、“議員主権”ではなく“国民主権”でなければならないので、一人一票実現国民会議の手法に従い、逆数を取ることにより、各有権者の票が0.33票(神奈川・宮城・東京)といった形で棒グラフを作成しました。(左軸)

一票の格差は“人権論”のみならず“統治論”的にも問題

升永弁護士は、一票の格差は人権論のみならず統治論的にも問題であるという論点を出されており今回の記事では、多数決で内閣総理大臣や法律を決めているのに、一票の重みの重い選挙区から有権者数を累積すると、4割ほどの有権者で過半数(改選74議席中38議席)が得られるという累積グラフを示させていただきました。(右軸)

“逆転”は“較差”以上に問題

くっ付けられれば、くっ付けられるほど不利になるアダムズ方式が、衆院小選挙区のみならず、衆院比例ブロックへの配分方法にまで採用されてしまったこともあり、格差以上に問題な逆転を円グラフで示してみました。円グラフ採用はデザイナーさんの提案ですが、有権者数が多い(180度を超える)方が、定数配分(バラの数)が少ないというのがvisualizeできているかと存じます。

アダムズ方式以上に不公正な配分をしている参院選挙区ですから、逆転配分はいくらでも見つけられますが、相手側を衆院ブロック単位にしたのは升永先生への忖度、東京、愛知採用は、『東京新聞』、『中日新聞』への忖度、神奈川の採用は一番いじめられている県への憐憫となります。

蛇足

参院地方区は、稲田朋美氏の福井県と、森喜朗氏の石川県の合区をしなかったために人口データからして1:3を越えていたわけですが、福井県の有権者を1票、神奈川県や東京都の有権者を0.33票という棒グラフですと、極少数の、高みにいる福井や石川の有権者と、押しつぶされた多くの神奈川や東京の有権者というのが綺麗にvisualizeされたと思っております。

『日本国男村』が高みから仕切っているんだから、子育て支援も選択的夫婦別姓も進むわけないよなという気が。。。
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