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ローデン准教授の歴史への挑戦 プロローグ

お断り
物語の中に、英語で会話する箇所があります。
自動翻訳のため、多少英語に自信がありません。

プロローグ

 私のデスクの傍らには、明治十九年発刊の『異人の見た幕末』という本がある。内容は、幕末に日本に訪れた異人たちの目を通して、日本での出来事や日本人との関わりが書かれている。登場している異人の中の何人かは、明治に入っても日本に留まっている。
 この本は、私の友人が、「おまえの親友と同じ名前が出てたんで、買ってきてやった」といって私にくれた本だ。
 そこには、私の友人の名前があった。同姓同名ではなく、私の親友だったということは、巻末にあった白黒写真を見て確信した。
 何故私の親友が、私の生まれるずっと前の本に載っているかと言えば、私の発明したマシンで彼はタイムスリップして戻れなくなったからだ。すべての責任は私にある。
 私のせめての慰めは、この本の中で、彼が最後に語ったとされる一文であった。
「私は、親友の勧めで幕末の日本に来たようなものです。しかし、ここで最愛の女性と知り合い、子供にも恵まれ何不自由ない生活をしています。残念なことは、その親友と二度と会えないかもしれないことだけです。とても遠い所に住んでいます。この本が出版されれば彼が見てくれるかもしれないと思っております」
 彼は、最後をこう締めくくった。もちろん親友とは、私のことである。とても遠い所に住んでいるとは、彼らしい表現だと思った。が、外国人だろうと誰も思ったことであろう。私は、この一文を読んで、少し救われた気がした。

 今断腸の思いで、彼が見聞きし、行動したであろうすべてを本という形で残そうとしている。それが、私のせめての償いのような気がしている。私の文章が、出版に耐えうるものだとしても、出版となると様々な問題が出てくるだろう。しかし日の目を見なくとも、文章という形で書き留めておくのが私の使命と考えることにした。

2012年10月30日書斎にて 筆者

今後の目次
1.憧 れ
(親友の山本が開発した装置で、縄文時代に
タイムスリップできることになるローデン)
2.誤 算
(手違いで、幕末の江戸にタイムスリップするローデン)
3.幕 末
(ローデンは、幕末の江戸の見物や蘭学者と娘のお慶との日々)
4.再 会
(ひょんなことからジョン万次郎と出会うことになったローデン。
一度現在に戻ったローデンは、幕末の江戸に戻ることにする)
5.万次郎
(暴漢から、ジョン万次郎を助けることができたローデン)
6.覚 悟
(井伊直弼と出会うチャンスがあり、桜田門外の変を告げる決意する)
7.お 慶
(お慶と結婚するローデン。その後お慶と共に現在に戻ってしまう)
8.惜 別
(戻った時は、桜田門外の変当日だった)
エピローグ
(山本は、タイムスリップの装置を破壊することに決めた)
※1.憧 れから、順次公開することにします。

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