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巨人ブロックバスター VS 弱小Netflix

圧倒的な規模の違い

レンタルビデオの超巨大企業ブロックバスター

ブロックバスターの最盛期は1990年代後半から2000年代初頭で、その頃は世界中で約9,000店舗以上があり、年間売上は約60億ドル(約6000億円)にも達していました。当時、ブロックバスターはビデオレンタル業界のリーダーであり、市場を独占的に支配していました。

弱小スタートアップ、Netflix

一方、Netflixは1997年にようやくスタートばかりの後発でした。
2000年には資金繰りに行き詰まり、ブロックバスターに対して身売りしようとしましたが断られました。社員120人の3分の1をレイオフしてなんとか生き残りました。
その後オンラインDVDレンタル事業が成長した2002年時点でさえも、会員数比較でブロックバスターが6500万人に対してNetflixは100万人で、65分の1でした。

オンラインDVDレンタル事業

なぜブロックバスターはNetflixと同じオンラインDVDレンタル事業をぶつけなかったか?

超巨大企業の大株主からの圧迫

一つには、大株主から利益を減らさないように圧迫を受けていたからです。
バイアコム(Viacom)は、アメリカのメディア企業で、テレビ、映画、ケーブルネットワーク、デジタルメディアなど、多岐にわたる業界で事業を展開しています。(CBSコーポレーションとの合併や分割を経て、現在はViacomCBSという名前で運営されています)
2000年代初頭のバイアコムの年間売上は、約200億ドル(約2兆円)と推定される超巨大企業です。
一般的には大企業が株主になると経営陣は大喜びしますが、イノベーションの観点では足枷になり逆に大きなマイナスになるというのは往々にしてあることです。

既存店舗とカニバることを恐れた

もう一つの大きな理由は、世界中に1万か所近くある既存店舗とのカニバリゼーションを起こす恐れです。
これは典型的なイノベーションのジレンマです。
大企業はうまく行っている既存事業のマイナスになるようなことはできません。将来性があるかどうかわからないような得たい知れない新事業のためにせっかくのドル箱事業を傷つけるようなリスクを冒さないのは極めて合理的な選択です。

相次ぐ大手参入で株式市場から見放される

大手の参入

しかし2003年からはついに大手が参入してきた。なんとあのウォルマートがDVDレンタル事業を始めました。
2004年には、ついにブロックバスターがNetflixを完全にパクった「ブロックバスターオンライン」を始めました。
とどめにAmazonがドイツでオンラインDVDレンタルを始めました。すぐに米国にも参入してくると思われました。

株価暴落

相次ぐ大手の参入に、株式市場は最も小さなNetflixに勝算なしと判断し、株価は暴落しました。
普通に考えれば、業界のジャイアントであるブロックバスター、世界最大のス―パーマーケットチェーンのウォルマート、オンラインショッピングの王者Amazonとの競争に勝てるわけがないと思うのも無理はありません。

大手の撤退とブロックバスターの自滅

ウォルマートとAmazonの撤退

ところが、ウォルマートは2005年に撤退しました。
Amazonも2008年に撤退しました。
Netflixが勝ったというよりも、両社はオンラインDVDレンタル事業の収益性を低いと見切って捨てたのです。
2009年にはNetflixを買収しようと考えた新興のスター企業がありました。なんと、あのGoogleです。しかしGoogleは途中で買収を止めたのです。理由は2006年に買収したYoutubeとカニバるからです。Google側から見れば、既存事業のために機会を逃すイノベーションのジレンマから来る失敗です。

ブロックバスターの自滅

一方、ブロックバスターはオンラインDVDレンタル事業を続けていました。
Netflixは2007年からオンラインストリーミングを開始しました。
2007年にブロックバスターのCEOが変わった時に転機が来ます。
ブロックバスターの新CEOは時代に逆行して店舗に回帰したのです。
2010年ブロックバスターは破産しました。










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