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ドーパミン中毒のやばさ

脳のなかの報酬系とドーパミンの発見

ドーパミンの報酬系への関与を示す有名な実験は、実際には偶然から生まれました。これは、1950年代に行われた、ジェームズ・オールズ(James Olds)とピーター・ミルナー(Peter Milner)による著名な「ブレイン・スティミュレーション・リワード(BSR)」実験です。

オールズとミルナーは、ネズミの脳に電極を埋め込み、特定の脳領域を刺激することで、その脳領域がどのような機能を持っているかを調べようとしていました。あるネズミの実験で、彼らは意図せずして電極が脳の報酬系に関与するとされる領域(辺縁系)に挿入されてしまいました。その結果、ネズミは電極による刺激を非常に好むことが分かり、自ら刺激を受けるためにレバーを押す行動を繰り返しました。

具体的な行動としては、以下のようなものが観察されました。

  1. 自己刺激行為の繰り返し: ネズミは報酬系への刺激を得るために、積極的にレバーを押し続けました。この行動は、ネズミが脳内報酬系の刺激に非常に強い快感を感じていたことを示しています。

  2. 食物や水よりもレバーを優先: オールズとミルナーは、実験中にネズミに食物や水を与えましたが、ネズミはそれらよりもレバーを押すことを優先しました。これは、報酬系への刺激がネズミにとって非常に大きな価値を持っていたことを示しています。

  3. 刺激の反復: ネズミは、報酬系への刺激を得るために、レバーを押すことを何度も繰り返しました。これは、報酬系への刺激が短期的な快感を提供するものであり、ネズミがその快感を維持するために刺激の反復が必要であったことを示しています。

  4. 疲労の克服: 実験中に、ネズミは疲労やストレスにもかかわらず、レバーを押し続ける行動を継続しました。これは、報酬系への刺激が非常に強い動機付け効果を持っていたことを示しています。

これらのネズミの行動は、報酬系への刺激が生物にとって非常に重要であり、強い快楽や動機付け効果を引き起こすことを示しています。また、この実験は、脳内報酬系が生物の行動や学習に重要な役割を果たしていることを示唆しています。

この実験の後、研究者たちは報酬系におけるドーパミンの役割を徐々に解明しました。報酬系は、快楽や報酬を感じることで、生物が生存に必要な行動を繰り返すように働く仕組みであり、ドーパミンはその中で重要な役割を果たしています。

人は生きるために食べるのではない。快楽のために食べるのだ。

「生命を維持する本能のために食べるわけだから仕方ない」と他の動物を食べることを正当化する話をよく聞くがこれ胡散臭いよね。っていうか、嘘だよね。食べるためではなく、ドーパミン=快楽のためだよね。
あと、もう一ついかにも嘘っぽいのは「子孫を残す本能のために性欲がある」というやつで、昔保険体育の先生がそれ教えてて、同級生の誰かが「子孫を残すためならなんで避妊してまでやるんですか?」と質問して先生が答えられなかった記憶がある。
これも嘘だよね。子孫の残すためではなく、ドーパミン=快楽のためだよね。

たとえ罰されても快楽を求める怖さ

後続の研究で、オールズはネズミにとっての苦痛と報酬の関係をさらに調査しました。この実験では、ネズミの檻の床に電気ショックが与えられるように設定され、ネズミがレバーを押すことで報酬系を刺激できる状況が作られました。

驚くことに、ネズミは電気ショックを受けるリスクを冒しても、脳の報酬系を刺激するためにレバーを押し続けました。これは、ネズミにとって報酬系の刺激が苦痛を避けることよりも優先される行動であることを示しています。

このような研究結果は、報酬系の刺激が生物にとって非常に重要であり、苦痛を避けることよりも優先されることがあることを示唆しています。

逮捕されることがわかってても麻薬にはまってしまうとか、悪いこととしりながら痴漢してしまう人とか、ダイエットしたくてもつい食べてしまうとか、なんとなく私たち人間にも覚えがありますね。


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