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ククブクの味見

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海外の料理本のことならククブクにお任せ! 優れたデザイン性があり、コンセプトにひとと風土と文化が見える海外の料理本「cookbook」を紹介するマガジン「ククブク」を、noteで…
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2021年4月の記事一覧

令和、ハワイは遠くになりにけり

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その8 3月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーでは、ノース・ロンドンのサンドウィッチ店「マックス・サンドウィッチショップ」のコンビが書いたピクニックのガイドブック『Max’s Picnic Book』をご紹介しました。 登場人物や場所、架空のピクニック・ストーリーを設定して、そこから生まれたレシピをまとめるという斬新な構成が

想像のピクニックに草上で身を投じよう

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その7 3月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーではメキシコのいち地方料理、オアハカ料理のcookbook『 The Food of Oaxaca: Recipes and Stories from Mexico’s Culinary Capital』をご紹介しました。 メキシコ最大の美食都市と言われているオアハカは、中央アメ

料理本の自己否定と口伝のレシピ

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その6 3月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーでは、Netflix『シェフのテーブル:BBQ』にも出演していたバーベキューマスター、ロドニー・スコットの初のcookbook『Rodney Scott’s World of Barbecue: Every Day Is a Good Day』をご紹介しました。 本場のバーベキュ

トンネルを抜けるとブタは丸焼きだった

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その5 3月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーではサンフランシスコの新感覚チャイニーズ・レストラン「ミスター・ジウ」のシェフによるcookbook『Mister Jiu’s in Chinatown: Recipes and Stories from the Birthplace of Chinese American Foo

温故は知新のサンフランシスコ

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その43月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーではボストン在住の料理家ベティ・リュウによる、故郷・上海への郷愁を誘うcookbook『My Shanghai: Recipes and Stories from a City on the Water』をご紹介しました。 作家自身が撮っている写真も美しく、中国料理のcookboo

上海蟹食べたい あなたと食べたいよ

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その3 3月22日付けのフード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーでは、cookbook作家ジュリア・ターシェンのヘルシーかつ心あたたまる家庭料理のcookbook『Simply Julia: 110 Easy Recipes for Healthy Comfort Food』をご紹介しました。 個人的なエピソードはどこまで共有可能なのか?って

思考するcookbook作家のたどりついたシンプル

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その2 フード情報サイト「Eater」に掲載された、春の新刊cookbookのレビューを読んでいってます。 前回のストーリーでは、歴史家で作家のマイケル・トゥイッティーによる、コメを中心にアメリカ南部について考える書籍『Rice: a Savor the South cookbook』をご紹介しました。 一見して学術書のようですが、世界のコメ料理のレシピも載っているのでcookbookとしても使えるようになっています

KOME KOME WOW !

Eaterが選ぶ2021年春のオススメcookbook その1 お待たせしました! フード情報サイト「Eater」が、毎年春と秋の2シーズンに新刊cookbookのレビューを掲載しているのですが、その2021年春版が3月22日に公開になりました。 編集長による単独署名記事から、複数のライターによるレビューの形式になって3年目。 2019年春は13作品、2020年春は15作品と控えめな冊数だったのですが、今年は全部で17作品を紹介と、数のうえではプレコロナ時代を上回る結果

体型コンプレックスの「マトリックス」から抜け出して

ジュリア・ターシェンの新刊cookbookより オリンピックの開会式といえば、ぼくは2004年のアテネオリンピックでディミトリオ・パパイオアヌーが演出を手がけた開会式を思い出します。 これは本当に素晴らしかった! 2019年にパパイオアヌーがさいたま芸術劇場に来たときも観に行ったのですが、ことばにならないほどの僥倖でした。 いっぽう、2021年の東京オリンピックの開会式……。 「オリンピッグ」なんてダジャレで、こういう崇高な芸術を知っている世界の目に耐えられると思っ