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ククブクの味見

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海外の料理本のことならククブクにお任せ! 優れたデザイン性があり、コンセプトにひとと風土と文化が見える海外の料理本「cookbook」を紹介するマガジン「ククブク」を、noteで…
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2019年10月の記事一覧

cookbookで理想のレシピを探す旅を!

夢にまで見たマカロニ&チーズに出会えた話 定番料理のいいところは、多くの料理本に掲載されているので、いろいろと試して自分にぴったり合う味を見つけられるところ。 日本の料理本だったら「豚肉の生姜焼き」とか「サバの味噌煮」とか、調味料の種類や分量で違いが出やすいので、逆に自分好みのレシピを見つけるのが難しかったりします。 まあ、自分で調整すればいいんですけどね。 アメリカの料理雑誌『フード&ワイン』のライター、キャロライン・シュナップにとってのそれは、アメリカの家庭の定番料

「鼻先からしっぽまで」が「上唇から尻びれまで」に

魚をムダなく食べるための革新的料理本が誕生 環境的にも倫理的にも問題点ばかりの工業的畜産業。 その影響があるのかないのか、いま「魚」が見直されていますよね。 (まあ漁業にもサステナビリティの問題等が当然あるわけですが……) 今年の6月には、日本でもキャスリーン・フリンの「魚料理の苦手を克服したい!」をテーマにした本の邦訳版が発売されました。 こうやって多くの人が魚を食べるようになると、今度はその「食べ方」にも注目が集まってくるわけで。 魚も「鼻先からしっぽまで」大切

金曜日のcookbookランキング

#138 20年後のノンナは何を作る? 新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 10月第4週のランキングをお伝えします。 最近、マルク=ウヴェ・クリングの『クオリティランド』という小説を読んでいます。 個人の嗜好から行動の基準まで、すべてが巨大企業にコントロールされている未来社会で、いわゆる「下流」にランク付けされている主人公が「欲しくもないのに送られてきた」商品を返品するために社会システムと戦う……という物語で、ちょっとダグラス・アダ

料理が私の名刺です。

シグニチャー料理を集めたcookbookが発売 食べ物に関心があるみなさんは、「シグニチャー料理」あるいは「スペシャリテ」といったことばを耳にされたことがあると思います。 いろんな言い方がありますが、いずれにせよこれらのことばが指すのは「そのお店を有名店にのし上げた看板メニュー」のこと。 単に有名店の料理というだけではシグニチャー料理にはなりませんし、看板料理といってもその店が有名でなければ「スペシャリテ」と呼ぶのは気恥ずかしい感じがします。 今日はそんなシグニチャー料

私は私、なにも変わる必要はない

黒人女性が書いたヴィーガン向けベイキングcookbook ここしばらくずっと注目度が高まっているのが、アフリカ系アメリカ人が著者のcookbook。 よくよく思い出してみると、その潮流は黒人初の大統領だったオバマが政権を退き、トランプが新しい大統領に就任した2016年ごろから続いている気がします。 ククブクでも、今年になってからもニューヨークのマルチタレントシェフ、ラザルス・リンチの『SON OF A SOUTHERN CHEF』や、 トレイシー・モーガン主演のコメディ

金曜日のcookbookランキング

#137 世界を作った腹ペコ帝国 新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。 10月第3週のランキングをお伝えします。 秋の新刊cookbookをご紹介していた関係で、約1か月ぶりのランキングになってしまいました。 この間に台風19号による大きな被害がありましたが、みなさんのお住いの地域の状況はいかがでしょうか? 被害を受けられたみなさんに、この場をお借りしてお見舞い申し上げたいと思います。 cookbookの世界では、自然災害や社会問

生存して活動することが「生活」

実力ナンバーワンのcookbook作家は語る 料理家に転身したグウィネス・パルトロウの「できすぎるゴーストライター」として、一躍有名になったジュリア・ターシェン。 ククブクではこれまでも彼女が出したcookbookの紹介や、 講演の再録などを掲載してきましたが、 今回またEaterに若いひと向けのインタビュー記事が掲載されていました。 将来料理本を書きたいと思っているひとだけでなく、書くことによって表現活動をしているひとみんなに刺さることを語っていましたので、まことに

ブッチャーと野獣、ついに来訪!!

NY・肉料理専門店のcookbookが発売に ニューヨーク「ベアトリス・イン」のオーナー兼シェフ、アンジー・マー。 彼女の初となるcookbook『Butcher and Beast: Mastering the Art of Meat: A Cookbook』が発売になることは、6月にお伝えしました。 肉食を忌避する傾向にあるここ最近のフード界にあって、肉料理をメインに提供するレストランのcookbookが発売されるということで、発売前から注目度がかなり高かったこの作品

うずまき模様は故郷のしるし

Eaterが選ぶ秋のcookbook 2019年版 その8 フード情報サイトEaterの9月3日付け記事から、この秋に発売される新刊cookbookを紹介しています。 前回のストーリーでは、政治・国家的な「イスラエル」ではない、実際にそこに住むひとたちが食べている「イスラエル料理」をフィーチャーしたcookbookと、約20年前に時代を風靡した四川料理のcookbookのリバイバル版をご紹介しました。 『Sababa』を読むと「食に国境はない」ということを再認識させられま

世界の四川はイスラエルに釘付け

Eaterが選ぶ秋のcookbook 2019年版 その7 フード情報サイトEaterがピックアップする、この秋の新刊cookbook。 そのなかから2冊ずつをゆるゆると取り上げています。 前回のストーリーでは、ナチュラルワインの最新事情がわかるガイドブックと、ニューヨーク・タイムズ紙のレシピコラムニストによるカジュアル料理のcookbookをご紹介しました。 『Nothing Fancy』は、ヒットした前作『Dining In』の路線をちゃんと踏襲しているところがいいで

ちゃんと流行りで、確実に実行可能だよ

Eaterが選ぶ秋のcookbook 2019年版 その6 この秋に発売のcookbookを、フード情報サイトEaterがおすすめする9月3日付の記事を読んでいってます。 前回のストーリーでは、ニューヨークにアトリエ兼ショップを構える「スパイスの達人」によるスパイスcookbookと、フーディーなラッパー・クエストラヴがオーガナイズしたミックステープcookbookをご紹介しました。 Netflixで『グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル』を観てからというもの、

ミックスは世界をしあわせにする最高の調味料だ

Eaterが選ぶ秋のcookbook 2019年版 その5 この秋に発売される15冊のcookbookを、フード情報サイトEaterのおすすめ順に読んでいってます。 前回のストーリーでは、本当の意味で「アメリカ料理」を作り出したアフリカ系アメリカ人のレシピを集めたcookbookと、人気ユーチューバーによる韓国家庭料理のcookbookをご紹介しました。 マンチの料理動画は本当にわかりやすくて美味しそうで、多分これからも見るだろうなと思ったのでチャンネル登録してしまいまし

マイノリティ・フード・リポート

Eaterが選ぶ秋のcookbook 2019年版 その4 フード情報サイトEaterの9月3日付け記事をもとに、秋の新刊cookbookを少しずつご紹介しています。 前回のストーリーでは日本料理を世界に伝えるナンシー・シングルトン・八須の最新作と、イギリスcookbook界の重鎮、ダイアナ・ヘンリーのワンプレート調理本をご紹介しました。 『Food Artisans of Japan: Recipes and Stories』を読むと、日本料理を伝えるcookbookも