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コメットと僕【第五回】示された道標

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上手くなりたい…そんなの何度だって思った。
強くなりたい…いつも思っていた。

チャットで罵倒されるたびに強く願ったし、
味方に撃ち殺されたときは、大声で叫びたいほどに渇望した!

強くなりたい!

でも、そう思っただけだった…
祈るだけだった、望むだけだった!

今度こそ行動に移すんだ!
そのために、なにか努力をするんだ!

でも、そのために何をすれば
いいのか分からなかった。
この走り出したい衝動でどこへ向かって
走り出せばいいのかが分からなかった…

そんなある日、5ちゃんねるのWoT初心者スレで、
非常に解説が分かりやすい配信者がいるという
話を耳にした。
レス主は相当な信者のようで、
プレイ中に事細かに解説してくれるから
凄いためになると力説していた。

気になったので、その配信者の名前を
メモしておくことにした。

youheyさんという人らしい、
配信アーカイブを見てみたんだけど、
本当にすごく詳しく解説しながらプレイしてくれていた。

でも、それよりも有り難かったのは
今の僕がするべきことを教えてくれた事だった。

ようへいさんは言った

大事なのはインプットと
アウトプットをひたすら繰り返すこと!

上手い人や凄いダメージを稼いでいる人の
スーパープレイをたくさん見て
情報をインプットする。
勝ちムーブのイメージをインプットする。
稼ぎ方のイメージをインプットする。

でも、ただ見ただけでは絶対に自分のものにならないので、
それを実際に自分で試してみて、トライアンドエラーを繰り返す。
これがアウトプット。

自分は根本的に間違った考え方をしていたことに気づいた。
「死んで覚える」という言葉がある
死んで死んで死にまくって
その教訓を積み重ねて最善の行動を
自ら組み上げるという方法だ。

自分はそれでなんとかなると思って、
ただひたすらに戦闘数だけを増やし続けてきたのだけど…

それは全部無駄だった!

このゲームでは、その学習法はほとんど意味がない。
よっぽどゲームセンスがある人でもない限り、
初心者レベルのど素人が、自分の経験だけで
最善手を導き出すなど不可能に近い。

何千戦何万戦と死に続けて、
自分で一生懸命考えて出した答えよりも、
既に実績を出しているユニカム級の上手い人が
出した答えのほうが99.9%正しいのだ。

まずは模倣から、という言葉がある。
守破離という言葉もある。


何も分からずとも、とにかく師範のやり方を模倣して
正しい知識と考え方を身に着ける。
その後でなければ、自分の経験から
正しい教訓を得ることすら出来ないのだ。

さらにようへいさんは言った。

インプット作業を効率良く行うために、
ストラトスケッチを活用して、
実際に駒を置いて、線を引いてみると
良いかもしれない、と。

このアドバイスは大きかった。

自分はそれまでこのツールを知らなかったけど、
試しにやってみる事にした。
上手い人の配信を見るときは、
必ず隣のモニターにストラトスケッチを
準備してメモを取りながら視聴することにした。

上手い人が初動で向かった場所、
その時通ったルートに線を引き、
上手い人が射撃したときは自分と相手の位置に
駒を置いて射線を引いてみた。
詰めていくときは、そのポイントポイントに
駒を置き、侵攻ルートにフリーラインを引いていく。

やってみてすぐに、これは効果がある、と感じた。

ただ漠然と見ているときは右から左で
忘れていっていた気がするけど、
これならしっかり記憶に残すことが出来る。

このときについた癖で、
自分は今でも、どんなおふざけ動画でも
戦車動画を見るときは、
隣の画面でストラトスケッチを
用意して見るようになった。

「あ、そこ射線通るのか」
とか
「このポジション強いなぁ」
って思ったときにすぐにメモできないと
不安になるからだ。

ようへいさんがインプットとアウトプットの
両方が同じぐらい大事だと言っていたので、
自分はWoTをプレイする前の1時間半、
必ずストラトスケッチを隣に、
このインプット作業をすることにした。

それまで一日3時間ぐらいプレイしていたので
そのちょうど半分の1時間半を
座学の時間にあてようと思ったのだ。

さらに、ようへいさんは言った。

戦車はエイム力がそれほど重要じゃないと言われてるけど、
エイム力は、あればあるほど良い。
エイム練習ソフトなどを実戦前に毎回やって、
エイムを意識しながらプレイするようにすると、
徐々にエイム力が向上していく、と。


エイム力には自信が無くて初めから諦めていたけど、
今はやれることは全部やっておきたかった。
ようへいさんはエイムヒーローってソフトで
毎日10~15分程度練習しているとのことだったので、
早速エイムヒーローを購入して、自分もやってみることにした。

これは日課になって、今でも毎日やっている。
実際にエイム力がついた気は全然しないんだけど、
プレイ前にこれをすることによって
丁寧なエイムを自分が意識するようになるのは実感している。

さらに、ようへいさんは言った。

上手い人のプレイを見るだけじゃなくて
自分のリプレイを見直すことも大事だ、と。

その際、自分の動きの反省だけじゃなくて、
自分よりも稼いでいた味方の動きに
注目してみることも大事だ、と。

自分もいたその戦場、その環境、
確かに、そこには大きく稼げる方法があったのだ!
それを盗んで自分のものにしろ、ということだ。

WoTのリプレイ再生には不満があって、
いちいちクライアントを再起動しなくちゃいけないので
凄い面倒くさかったけど、
今の僕は面倒くさがる立場ではないと思ったので、
毎試合終了後にクライアントを落として
自分のリプレイを見るようにした。

脳内でようへいさんメニューと名付けた
この練習メニューを毎日欠かさずやるように決めた。
どんなに仕事の帰りが遅くなって、
自分でプレイする時間がない日でも、
インプット作業とエイム練習ソフトだけは
絶対に欠かさずに続けた。

自分で変化に気づくまでは、
結構時間がかかったような気がする…
少しずつ、少しずつだけどショボ沈率が減って
成績が安定するようになってきた。

でも、それよりも大きかったのは、
練習を続けているという事で、
戦車に関しては、あんなに卑屈だった僕の中で、
少しずつ小さな自信が育ち始めたことだった。

その事で、自分の行動一つ一つに理由をつけれるようになった。
自分に自信がなければ、それも出来なかった。
もちろん僕の理由付けなんて見当外れな間違いなのかもしれない、
でも、たとえそれが間違っていたとしても、
何故自分がそうしたのかを自分で意識してやっていれば、
失敗したときにしっかりと教訓を得ることが出来る。
漠然と、何となく動いているときには出来なかったことだ。


今回最後になるけど、ようへいさんはこう言った。

ランダム戦では、ありえない動きをする味方がいたり、
とんでもない展開の試合になったりもする。
凄い上手い人もいる。人間なのか疑うレベルの人もいる。
あらゆるレベルのプレイヤーがごちゃまぜで同じ戦場で戦う。
その上、意思疎通もろくにできない…

でも、それが集団戦とは差別化されたランダム戦というもので、
何が起こるかわからない…そのカオスさこそが
ランダム戦の最大の「面白さ」なのだ、と。

この記事を書いている現時点の僕は、
このゲームを心から楽しめている。

ランダム戦は地獄だとか動物園だとかクソゲーだとか言う人がいる。

でも、僕は楽しい!
負けても勝っても活躍してもショボ沈しても
愛車のコメットでカオスな戦場を駆け回るのがとても楽しい!

僕がそう思えるのはもしかしたら、
カオスこそランダム戦の醍醐味だと言うようへいさんの
考え方を聞かされたからかもしれない。

だから、僕の進むべき道を照らしてくれて、
僕に心からこのゲームを楽しいと思わせてくれたようへいさんは、
コメットと僕の第3の恩人なのだ。


次回
コメットと僕【最終回】いつか必ずそこに至る
11月5日投稿予定

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