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林檎とポラロイド

Mila /Apples。2022。ギリシャ、ポーランド、スロベニア。
監督 クリストス・ニク

突如として記憶を失う病が流行っている社会、発症した人向けの回復プログラム。さまざまな指令をこなしポラロイドカメラで記録を残すこと。ある男は回復プログラムをこなしながら、失われたものの何を見つめる?

精神的な怖さのある始まり方をする。主人公の男性は記憶喪失の詐病を予感させる雰囲気で一体何があったのかって探りたくなる前に、記憶喪失回復プログラムの内容が結構突飛で、担当の医者なのか学者なのかが突飛なことを大事なもののように対応するのがリアルとのズレを笑う系のコメディになり、映画全体の造形が掴みきれなくなり主人公の過去とかどうでも良くなる。しかも突飛なクエストを真面目にこなすのでなおのこと。
ただ、いろんなクエストがあるしいろんな体験をするからワイワイしてもいいのだけど、全体的に無味無臭な時間が後からついてくる。
それは主人公の気持ちそのものなのかもしれない。
本当に大切なものがなくなってもう自分には何もない絶望感から、喪失感は逆に強烈すぎてなくなったものの形をくっきり浮かび立たせるのかもしれない。

受け入れて立ち上がるしかないよな。残った時間を真摯に行動するのが生きてるものの義務だよね。


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