井深大 「自由闊達にして愉快なる」


ソニーの創業者、井深大の”私の履歴書” と解説。

小さい頃、父親が買って来たウォークマンで初めて音楽を聴いたときは、ホントにすごいと思った。それまで使っていたボロいラジカセから出てくる音とは大違い。すごい製品だと感動した。

この本を読んで、ウォークマンが最初は、ソニーの創業者の井深が、海外出張の時に、自分で音楽を聴くため作らせた”オモチャ”だっだと知る。

その時は名誉会長になっていた井深は、会長の盛田にこのウォークマンの原型となった試作機を見せる。録音機能のない再生だけのテープレコーダーが売れるわけがないという現場の反対を押し切って、盛田がウォークマンを商品化し、世界的なヒット商品となった。

この逸話は、さすがソニーの創業者だと思わせる話だ。でも、この本の中の井深は、優秀な技術者だったのは分かるが、世界的企業を作るほど凄い人という感じは全然しない。

彼がソニーを世界的な企業にすることが出来たのは、彼個人としての優秀さよりも、ソニーが創業した時のベンチャースピリッツを忘れないように、組織をマネジメントし続けたことにあったのだろう。

ウォークマンの発売した年の社内報への寄稿。井深は、このウォークマンのアイデアが、名誉会長の井深と会長の盛田から出たものであることに対して、こんな情けない話があるか、このアイデアは君たちから出て来なくてはならないはずだと、社員を鼓舞する。

いっとき、元気がなかったソニーも最近は業績が良いらしい。ウォークマンで衝撃を受けた世代としてはちょっと嬉しい。

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