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17:涙の再会

2023年4月30日

退院のお迎えでデイルームで待っていると、看護師さんが押す車いすに乗った夫が現れました。
入院する前とは変わり果てた夫を見て、私は絶句。

痩せているのはもちろんなんですが、退院するときはいつも痩せて帰ってくるので、そこはそんなに驚きませんでした。

驚いたのは

  • 車いすに座っているというより、座らされてる感じでおじいちゃんみたいな姿勢

  • 髪はベタベタ。

  • 爪は伸び放題

  • 顔も体もカサカサ

毎日のようにテレビ電話で姿をみていたのに、実際に会ってみるといつもの夫とはまったく違っていました。というかいつもの退院の時とも違います。

看護師さんがいなくなると、夫はか細い声で「本当によかった…」とシクシクと涙を流しました。

こんな時、普通は「おかえりなさい」とか言って泣きながら抱きしめたりするものなのでしょうが、私はそういうのが小っ恥ずかしくてできないタイプのため、何も言えず手を握り背中をさするだけで精一杯。でも嬉しくないんじゃないんだよ。本当こんな女でごめん。

手続きを終え、いよいよ退院です。
車までは車いすで移動し、そこからは車いす無しの生活をしなければいけません。ただ今の夫を見る限り、しばらくは私の介護なしには生活できそうもありません。ゴールデンウィークで本当よかった。

自宅に帰ってからまず先に爪を切ってあげました。一応爪切りは持って行っていたのですが、術後は爪を切る体力すらなかったようです。

次にお風呂です。前日も入っているのになぜかベタベタの頭。夫に聞いてみると、お風呂に入ったけど腕も上げられないし、体も動かせなくて全く洗えなかったそうです。あと頭の傷口を触っちゃいそうで怖かったとのこと。

夫は申し訳なさそうに「お風呂手伝ってもらえないかな」と言ってきたのですが、こっちは水頭症の時に何度もお風呂に入れてあげていたのでお手のものです。念入りに全身を洗ってあげました。

しかし何度も何度も頭や体を洗いましたが、頭のベタベタ、皮膚のカサカサ、頭や体の臭いが取れません。3週間もお風呂に入らないと、そう簡単に汚れは落ちないようです。結局普通の状態に戻るまで1週間くらいかかりました。

爪を切って、お風呂に入って着替えると、だいぶいつもの夫らしさが戻ってきました。

食欲はとてもあり、とにかくお肉が食べたくて仕方がないとのことです。食欲があるのは良いことです。

その日は、赤身のステーキとノンアルコールビールで二人で退院祝いをしました。

退院祝い
退院時の傷の様子
退院時の傷の様子

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