福島第一原発廃炉作業の現実

   8月22日、予定より2年以上遅れて福島原発2号機のデブリ取り出しが朝から始まった。しかし、午前中に作業を中断した。装置の取り付け順番を間違えたと言う初歩的なミスだという。
 装置は複数のパイプをつないで最大22メートルまで伸びる釣り竿状のもので先端に爪のようなものを付けて原子炉に3,4メートル垂らしてデブリを3グラム程度取り出すというものだ。それほど大仰な装置なので準備作業もしっかりしていただパイプのパイプの順番を間違えたというのはあまりにも真剣味が備わっていないといえる。実際、作業をしたのは、孫請けの会社らしい。東電本社社員が直接携わっていないのだ。東電直接の下請け業者でもない。今回のアホらしいミスに、東電そのものの廃炉に対する態度が明確に出ている。デブリ全体で880トンもあると云われている。それなのに3グラム採取するところで遅滞している。これでさえ、計画から2年以上遅れている。しかし、51年までに廃炉完了のゴールは全く動いていないのだ。こんなことが普通はおかしいと全ての人が思うだろう。しかし、メディアも含めて誰も、そのことに疑問を呈さない。
 壊れた原子炉や建屋など危険な放射性廃棄物がデブリの何倍もの膨大な量となって出てくる。しかし、日本では放射性廃棄物の最終処分地は決まっていないのだ。これで2051年には、今の福島第一原発の敷地が全く無害な更地になると想像できる人がいるのだろうか?

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