「行き当たりばったりの日本の観光政策」

 あまりにもインバウンド効果がすごすぎて、航空燃料が不足しているらしい。そのため海外航空会社が日本への就航や増便を諦める事例が横行しているということだ。この原因は、国内の石油精製能力が減ったからで、石油元売り業界と経産省が業界再編や製油所の統廃合を進めてきた結果、この期に及んで航空燃料の増産が困難になっているのだ。さらに精製された燃料を運ぶ船舶や乗員、空港で給油する作業員も不足しているということだ。これを打開するために韓国から燃料を輸入することになった。まさに泥縄式解決で日本が得意とする方法だ。
 また、観光地では、コロナの頃は閑古鳥が鳴いていて、関係者は口を揃えて「海外からの観光客が来てくれたら」と叫んでいた。それが、インバウンドが盛んになった今、観光客がおおぜい来て、ゴミ問題が大変だ、と言いだしている。そんなことは十分に想定できることで、今からでも観光地にごみ箱を数多く設置して毎日収集するスタッフを観光関係者で確保するか自治体が関わるかすれば済む話しだ。
 公共交通にしても、諸外国並みにウーバータクシーを解禁すれば、タクシー待ちの緩和になるし、ビジネスチャンスも広がって観光で潤う人が増えるはずなのに、日本では、タクシー業界が自民党の強い後ろ盾で自らの既得権を手放すことを拒んでいるが故に一向に交通問題が解消しないでいる。
 いずれにしても、閑古鳥が鳴いているときから想定できた問題に対処できず、行き当たりばったりで施策を進めてきた日本では、この状態を嘆く声は聞こえてこない。何年経ってもこんな状態が続くことだろうと諦めている。

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