「税の使い方がずさん!」

 会計検査院が国の21年度決算の検査報告をまとめた。問題ある箇所が310カ所。総額は455億円に上った。
 とりわけ新型コロナ対策のお粗末さが際立っている。19~21年度に計上した約94兆5千億円のコロナ対策費の内、未執行が18兆円もあったと云うことだった。実際に使われた事業でも様々な問題が噴出していることは時々ニュースになっている。21年度のコロナ対策費だけでも102億円の無駄遣い、不適切利用があった。法令違反に当る事業が10件もあったという。典型がコロナ患者の病床を確保するために医療機関に支払われた交付金の内55億円あまりが過大交付であった。それ以外に労働者の休業手当、GOTOトラベル事業などで不適切な給付が相次いで見つかっている。
 莫大な未執行予算を生んだ背景には各省庁が事業の見通しを精査せず予算確保を優先したことが第一に挙げられる。それはとりもなおさず各省庁の既得権益に繋がっていく。
 さらに全国の地方自治体が21年度決算ですべて黒字になった。そればかりではなく自治体の貯金に当る基金の残高が一気に12%増になった。これはコロナ対策などで国が大盤振る舞いで交付税などをばら撒いた結果なのだ。
 
 政府は補正も含めた一般会計予算で20年度に175.6兆円、21年度は142.5兆円を計上したが、使わなかったのが20年度34.5兆円、この年度に使う予定だった経費の19.0%、21年度は28.7兆円で全体の16.6%に達していた。公共事業費などに3割もの使い残しがあり、過大な予算は既得権益に繋がりやすいのだ。
 国が毎年度、施策の進捗状況を記す「行政レビューシート」というものがあるが、日本経済新聞が調査してみると、その中で終了年度を明記している1405事業の内終了年度の最終目標を明記していない事業が444事業あった。つまり、効果も曖昧な事業に予算取りしているのだ。
 そのような観点から今国会で審議されている22年度第2次補正予算案を見てみると、当初、政府は25.1兆円としていたが、与党内で「30兆円が発射台」などという声が出て、最終的に29.1兆円で決着した。まさに規模ありきの決め方なのだ。その財源の大半は国債なのだ。その多くが物価高騰、賃上げ対策と称し、電気、ガス、ガソリンなどに対する補助だ。一律のバラマキ政策だ。もっとピンポイントで効果的な施策が打てないものかと思ってしまう。さらに国の借金を増やし、世界中がいつ破綻するかと固唾を呑んで見つめている借金大国になっているのに。

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