3年に亘ったコロナ対策の総括を(2)

 1年前、コロナがいつの間にか治まった。
 これだから、日本の支配者層は真剣にコロナ対策を講じないのだろう。きれいに8波まで流行の波を刻んだ国は皆無らしい。他の国は、それなりに対策を講じて医療がパンクしないようになってきたという。日本は、8回も体験していながら、医療がひっ迫して、死者はこれまでで最高を記録したという。
 これでも、関係者はコロナ対策は失敗していないと思っていることだろう。
 そして、昨年5月8日にコロナを2類から5類にして、インフルエンザ並みに扱うとした。欧米はとおの昔にその対策に変更し、だれもマスクをしない状況を作っている。
 この3年、日本は、コロナであがきまくった。ただ、日本の指導層は常に「のど元過ぎれば熱さ忘れる」のだ。だから、今は政府の担当者やいわゆる専門家は、自分たちの努力で8波の山は越えたと思っていることだろう。
 当然、何の反省もしないし、この3年の経験から何の教訓も得ないことだろう。
 だからこそ、今後のために総括は必要なのだ。

そして、まだまだコロナ対策の総括をしなければならない施策はある。特に不可解だったのは
・アベノマスク
 マスク不足を解消するということで2020年3月に突如開始され6月までの3ヵ月間で厚労省を中心に続々とマスク調達契約が結ばれた。17社32件計約440億円。すべて緊急随意契約だ。
 郵送・印刷物作成・包装・コールセンターなどの契約が計約98億円。計543億円。
 布マスクはベトナムや中国からの輸入品だった。契約先には、実績不明の零細企業もあった。
 こうして調達したマスクの枚数はざっと3億2000万枚に上る。コロナウイルス感染予防の効果について疑問が指摘されるガーゼマスクだった。
 また、契約に際しては仕様書を作成していなかった。納入業者に対して、口頭説明しただけだったという。
 ところが、配布が始まると小さくて使えないという苦情が続出、不良品が多く、回収、点検、交換に何億円もかかった。
 最後は、布マスク8000万枚配布されず保管された。その保管にかかった費用は20年8月~21年3月で計6億円かかっている。
 業者選定は不透明で、マスク生産などやったことのない企業に政府が随意契約で委託し、業者の生産、配布の経費も彼らが得た利益も明らかにはなっていなかった。
 ほとんどが闇の中の状態だが、一向にその内容が明るみに表れることがない。
 
・ワクチン接種事業
 この施策も3年間、アタフタさせられた施策だった。
行き当たりばったり出たとこ勝負といった感じの事業だったように感じた。その結果、厚生労働省が22年月末までに8億8200万回分を確保する際に作成した資料に数量算定の根拠が十分に記載されていなかったことが判明した。23年1月末時点で約2億8000万回分のワクチンが廃棄処分又はキャンセルされている。そして、日本で国産ワクチンがなかなか出てこなかった理由はなんだったのか、この事業の全体的なまとめこそ、今後の未知の感染症対策に直接つながるものと思われる。
 

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