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まだまだ知られていない、バルセロナ小学生年代の”7人制サッカー”においての特別ルール


▪️7人制における特別ルール“オフサイドルール”


ここバルセロナで行われる7人制サッカーの中で1つ日本の8人制とは大きく違うルールの1つに“オフサイドルール”があります。
日本の8人制では11人制と同じく、ハーフラインもしくは守備の最終ラインがオフサイドラインとして使われているかと思います。
しかしこちらの7人制ではそのオフサイドルールが少し変わっており、ゴールエリアの手前に一本の線(ゴールラインから13m) が引かれておりこの線がオフサイドラインとして活用されます。※画像参照
つまり、8人制であるハーフラインのオフサイドルールは存在せず、このゴールエリア手前に設定されたラインまではたとえ相手の最終ラインより前にポジションを取っていても、この線よりも手前にポジションを取っている限り、オフサイドにはならないということになります。

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▪️起こり得る現象


ではこのオフサイドルールによって日本の8人制サッカーと比べた時に起こり得る異なった現象をみていきます。
8人制のように11人制と同じく通常のオフサイドルールが適用されている試合であれば、前線にポジショニングを取る選手に対し守備側は、DFは高いラインを設定し、この前線の選手に対してのパスを規制することが可能になります。
しかしこの7人制のオフサイドルールの試合の中ではこのような守備戦術を取ることは困難になり、守備側は相手の前線の選手に対してのボールを阻止するためにラインを後退させ、守備の厚みを増やす必要があり、深さを取る選手に対してマークに付くという状況が生まれやすくなります。
逆に攻撃側からすると、深さを取った味方の前線の選手に対して相手のラインが後退すると、単純なキーパーからのロングボール一本で前進するという戦術はあまり効果的ではないと言えます。
よって、攻撃のビルドアップの局面、ゴールキックから始まる局面では一本のロングキックでフォワードの選手まで前進する状況は少なく、ゾーン1からパスをつなぎ前進を試みるチームが多いということになります。
もちろんチームやシチュエーションよってはダイレクトプレーを用いて前進を試みるチームも存在します。
例えば、バルサのようなボール保持に優れたチームに対し相手チームが前線からハイプレッシャーに来るとします。
このような状況を解決する戦術として、縦のオーバーロードがあります。

https://twitter.com/ney10jun/status/1134464498155360257 


例えば、システムが1−3−2—1のチームですと相手のサイドバックを前に引き出すために両サイドバックに低い位置のポジショニングを取らせ、フォワードの選手にオフサイドラインまで深さを取らせます。
すると相手のセンターバックはフォワードの選手のマークに着き、相手の両サイドバックはサイドバックのマークとセンターバックのカバーリングを行うために中間ポジションを取ります。
次に中盤の二枚の選手はまずゾーン1にスペースを作るた深さを取ったあと、そのあと同じタイミングで高さを下げます。
この二枚が高さを下げたタイミングに相手の二枚のボランチがマークに付くために同じく高さを下げれば、前線で相手センターバックとフォワードの1対1のシチュエーションが生まれます。
もし相手サイドバックがセンターバックのカバーリングを優先するためにポジショニングを後退させると低い位置にポジションを取ったサイドバックとプレーするということになります。
この戦術もこのオフサイドルール有りきで可能となる戦術の一つとなります。
ちなみにこの戦術はちょうどバルサにルイス・スアレスが来てからトップチームに見られるようになり、それと同じタイミングで育成年代でもこの戦術を実践するために、体の強いキープ力のあるフォワードの選手を獲るようになりました。
少し話がずれてしまいましたが話を戻しますと、このオフサイドルールが設けられることで、守備側のポジションは縦方向に距離感ができ分散したものとなり、ゾーンごとのスペースが広がることになります。
逆に攻撃側からすると、チームとしての深さが取れる分、スペースが増え後退する相手に対しロングボールでの前進が減り、攻撃の前進・組み立ての部分で、足元へのパスからスタートする局面が増えるということになります。

▪️整理されたコンセプト

今日、お話ししたこのオフサイドルールも、カタルーニャサッカー協会の整理されたコンセプトに基づいて設定されたルールです。
小学生年代で習得されるべき戦術的・技術的コンセプトが明確に整理されているからこそのこのオフサイドルールの設定に繋がっています。
技術的コンセプトで言うと、ロングボールのオプションを最小化し、各選手のタッチ数を増やすことでパス・コントロールの回数を増やします。
戦術的コンセプトで言うと、スペースを生み出すための深さをとるアクションや、相手の背後を狙ったマークを外す動き。守備戦術で言うと、深さをとった相手へのマークや、それに対するカバーリングの動きとなります。
これらすべての戦術的アクション、技術的アクションがこの特別なオフサイドルールを設定することにより、改善される部分も多いということです。


以上、簡単にですがバルセロナで展開される7人制サッカーにおいて存在する等別ルール「オフサイドルール」について少し書きました。


↓↓私が代表を務めます、MLT バルセロナのインフォメーションとなります。重ねて宜しくお願い致します。


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【MLT】
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日本人とスペイン人のスタッフで構成されるMLTは、バルセロナを拠点に置くスポーツ団体です。日本のサッカー発展に貢献するため、バルセロナと日本を繋ぐツールになるべく活動しています。日本サッカーが発展するためには、①育成年代の改革 ②サッカーを見る・学べる環境作り ③指導者のレベルの底上げ が優先して必要だと思っており私たちのコンセプトでもあります。

現在は、バルセロナで小学生年代に向けたMLT テクニフィケーションスクールを開催したり、夏に日本で指導者向けカンファレンスやサッカーキャンプを開催しております。詳しくは、我々のホームページにて活動内容を掲載しておりますのでどうぞご覧ください。

MLT 創設者・代表 紹介

【高田 純】
2014 年高校を卒業後、バルセロナに渡り2015年には、スペイン指導者ライセンスレベル2(日本のA級相当)取得。近年では、クラブUEコルネジャで小学生年代チームの第一監督を務める。

-指導経歴-
2014-2015 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2015-2016 CLUB フピテルU-12 セカンドコーチ
2016-2017 UE コルネジャ U-12 第一監督
2017-2018 UE コルネジャU-11 第一監督,U-12 第二監督兼アナリスト
2018-2019 UE コルネジャU-11 第一監督,U-14第二監督兼スカウティング
2019-2020 UE コルネジャU11 第二監督






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