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20201004 モリゼミオープンゼミvol.5スウェーデンウメオ

世界の市役所をハックするオープンゼミのvol.6はスウェーデン北部にある人口約10万人の小都市のウメオがテーマでした。

ウメオという都市があること、どんな特色のある都市なのか、モリゼミでのレクチャーを拝聴するまで未知の地でした。

ウメオは1888年に街の大部分を大火で焼失する悲劇を経験しながら、その後アートと学問の力を使い学芸/学術の街として再興を果たすという、物語を持つ都市なのでした。

ウメオ 市制17世紀施行、ヴェステルボッテン県、面積33.46㎢、人口110,900人、人口密度2,261人/㎢、愛称シラカバの街、スウェーデン北部は原住民のサーミ人。

2つの大学があり、合計3万人以上の大学生が学んでいる。スウェーデン北部の最も大きな都市。1965年に大学が開学して以来急激に成長。2014年に欧州文化首都になった。1888年に大火に見舞われ、その後防火帯としてシラカバが大量に植林されたことから「白樺の街」の別名がある。

1888年のウメオの大火災。造船所、市庁舎、東部の住宅を全焼、エーン島の住宅も延焼。3,000人の住民のうち、2,300人が住宅を失う。

産業の衰退と住居の不足は人口の流出につながり、地域の衰退に直結し、文化が消滅する。

ウメオ大火災の様子は新聞やテレビで広く報道され、カリフォルニア州で行われた犠牲者支援のための募金は5,000ドルを集め、毛布やテントがホームレスを支援するためにニュージーランドから送られた。オスカー国王と閣僚たちはこの地域を視察し、スウェーデンのすべての主要な町で募金活動が行われた。

1874年にウメオの復興は政府の要件となり、都市インフラの変更から始まった。スンズヴァルの町は、建物を石造りに建て替えた。木造建物間の延焼を防ぐために、通りは防火壁として機能するように十分な幅に設計された。

別名ウォーターツリーとも言われる白樺の木は水分を多量に含んでいるため、防火柵として機能する。火災後の復興では、今後の火災の拡大を防ぐために、約3,000本の白樺の木が広い通りに沿って植えられた。

まちにとっての骨は都市構造。まちにとっての筋肉はネットワーク。そしてまちにとって心臓は文化である。

1965年9月17日にグスタフ6世アドルフの認可によりウメオ大学が設置。

設立当初は医学・歯学・哲学の3学部しかなかったが、1968-1969年の間に哲学部が数理科学、社会科学、芸術の3学部に分割されて5学部となり、学生数は3,000人から8,000人に(1970年)に倍増した。

1990年代の半ばには情報技術や生物工学など様々な学部が出来て、学生数は2万5千人に達した。21世紀に入ってからも新学部の創設は続き、学生数は毎年1,000人ずつ増加し、最近は3万6,700人が学ぶ総合大学に成長している。

2009年にはデーベルンズ公園の近くのウメ川の畔に、ウメオ大学芸術キャンパスが完成した。

1965年にウメア大学が設立されると成長が加速し、過去30年間で住宅量は2倍に増加した。2011年現在、毎年700~800戸の新築アパートが建設されている。

欧州文化首都。欧州連合(EU)が指定した都市で、一年間にわたり集中的に各種の文化行事を展開する事業。

文化首都に選ばれるためには、欧州全体の文化の特徴を備えた文化プログラムを計画し、またそのイベントにはその都市の市民の参加も不可欠である。選ばれるイベントのテーマや芸術家や運営者も欧州各国から集まったものでなくてはならず、またプログラム自身もその都市の長期的な文化、経済、社会発展に継続的な効果のあるものでなくてはならないとされている。

2009年ウメオ大学芸術キャンパスが完成。2014年欧州文化首都に選定。

「STAY COOL」(涼しさを保つ/平静を保つ/カッコ良さを保つ)と定義し、世界中の人々の知恵とウメオの力を合わせ、ウメオのような北方の都市にとって非常に重要な課題と向き合っていきたいと考えている。文化イベントを通して、人々が思考を変え、より持続可能な生活を送れるような道筋を示すことを目指した。

再掲すると、まちにとっての骨は都市構造。まちにとっての筋肉はネットワーク。そしてまちにとって心臓は文化である。

感想・・・ウメオは19世紀に大火災で街の機能や住宅を焼失したが、20世紀に大学を開学し、学部を増やしながら学生街としても発展した。学術の発展、学生の居住で都市が再興された。21世紀には欧州文化首都に選定された。学術・文化の力で街が復興するという物語は、世界中に勇気を与えてくれる事例だと思った。また「学問のオープンソース化」というキーワードを感想に書かれたゼミ生がいて、とても示唆のある言葉だと思った。「STAY COOL」文化イベントを通して、人々が思考を変え、より持続可能な生活を送れるような道筋を示すことを目指すこと・・・、街の存在意義が、文化が根底にあると、住民のシビックプライドの醸成にも繋がると感じた。住民にとって、街に住む理由の一つに、文化が選ばれることが意義があることと思う。日本でもそんな都市が増えて欲しいと願った。文化行政の仕事に関わったことがあるので、文化は大事だ。



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