ハッカソンに地方拠点を設置する話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

去年、Osaka HoloLens Hackathon (#HoloHack) に唐突に呼ばれて札幌の拠点を急遽たてました。今回は急ではなく、普通に運営協力していたのでそのお話です。

簡単にイベント紹介

(togetterはめ込み用スペース)

 Osaka HoloLens ハッカソンは6年連続6回目のイベントで、今回もオンラインでの開催になりました。従来の短期集中型イベントではなく、チームビルド・成果発表会の日程を分離した運営体制になりました(3密回避)。2/11にチームビルドのあと開発をしてもらい、進捗管理のための中間確認の機会が2/17にあり(参加任意)、2/20に最終発表が行われて、審査の後に各賞の発表という流れになっています。
 技術のメンターも充実していて東京・大阪・神戸からフルリモートでの技術サポートを受ける事ができる体制が事前に組まれており、参加者はSlackの大阪駆動開発ワークスペース内に設置されたハッカソン用チャンネルで適宜質問できるようになっていました。

 その他近隣でのサポートイベントとしては、#大阪駆動開発 メンバーが運営する #神戸駆動開発 での各種ハンズオン勉強会が開かれていたり、チームビルドの日にゲストスピーカの皆さん()による開発のためのパネルセッションが設けられていて勉強になるものがたくさん共有されていました。


東京・札幌・福岡・熊本での協力体制(主にコミュニティ)

 DoMCNでは去年に引き続き地域開発場所を設置しました。今回は13LABOさん(@13LABO_cafe)のスペースをお借りできたので、初日はこちらから協力内容(Holo実機デプロイ支援)を紹介させてもらいました。当日中にだれか来ても対応できる体制にはしておき、11日から20日までの間に機材の利用希望者がいれば個別対応して随時場を設定できるようにしてありました。あとはイベント広報も兼ねたツイッター実況で進行をアシストしたりという活動もいつも通りです。

 前回はチームを作って参加していた #福岡XR部 は、今回は機材の協力という内容で協力しました(要するに札幌と同じ)。多分エンジニアカフェとかに集合すればサクッと体験会とかもできるので非常に良いですね福岡。正直うらやましいです。担当はながみねさん(@kzonag)。

 東京はホロ元さん(@HoloMotoRanger)が機材の提供を名乗り出てくれました。開発に興味を持ってる人対象にご自身の私物HoloLens 2触らせてくれるということでした。

 会の進行中に熊本 #KumaMCN のやのさん (@Shota7Y) も協力を表明してくれました。日程的にチームビルド回には不参加だったようですが、決勝までの日程でお借りすることのできる可能性がありました。

 もちろん大阪でもMicrosoft社からの実機を遊べる体制があったので、希望者には機会が提供されていたようです。

 ということで、大阪の地方で行われたハッカソンではありましたが、札幌・大阪・東京・福岡・熊本と、国内の主だったXR開発者コミュニティ所在地のほぼすべてで実機に触る機会があったのが今回のOsaka HoloLens ハッカソンとなりました。

 「実機がないと分からない」を自分自身の肌で知っているXR技術者だからこその、この協力体制だったのではないかと思います。私の知る限りではこの体制で行えるハードウェア系ハッカソンが無いので、すごく面白い試みをしているなと思っています。貴重な実機を提供してくれる各地のみなさんありがとうございます。

機材は結局使われなかったけど来年も地方協力者は募集中

 いちおう結果を書くと、北海道エリア在住のエンジニアさんの参加が今回はなかったため、札幌での私のHoloLensが直接活躍することはありませんでした。前回は希望してくれる方が運よく現れましたので、それはそれでよかったのですが、告知・案内の方法などは工夫の余地がまだまだあります。ライブビューイング会場を建てるアプローチがアリだったかもしれないです。また考えます。
 使用希望者が現れなかったとはいえ、明言されたデプロイ拠点が去年の大阪・札幌から札幌・大阪・東京・福岡・熊本に増えたのは運営上の大きな進歩だったといえます。

地方ハッカソンの自力開催が無理なら他のお祭りに乗っかればいいじゃない

 現地にてハッカソンを運営していた経験から考えると、当時は大変でした。会場確保・機材レンタル・食料の調達・当日進行・(寝床の心配)などなど管理すべきことがたくさんありました。その苦労に反して地方での地元エンジニアは東京ほど居ないこともあり、参加者がどのくらい集まるのか当日まで全く読めず(だいたいは少ない)、私個人としては胃が痛い時期が数か月のオーダーで続くイベントでした。
 オンラインハッカソンになり、運営側が準備していた分の作業の負担は参加者に分散した感じがしていますので、メイン進行側の運営も前ほどではないのかなと思います。コンパクトなハッカソンが設計できるようになりました。
 ただ、地方にエンジニアが居ない問題についてはもっと深刻になっていて、昔以上に参加者集めは厳しくなっていますので、私は主催で技術ハッカソンを開催するのはしばらくないと思います。
 そんななか、#大阪駆動開発 のように、ハッカソンに協力者としてカジュアルに乗っかれる仕組みができつつあるのは地方民としてはとてもラッキーです。サポートのリソースが余っている分をほかの地域と互いにシェアできる点で無駄が少ない他、私自身が運営メンバーの他の方と仲良くなるチャンスも少なからず生まれるので、エンジニア・運営者双方にメリットがあります。
 たとえ札幌で参加者0だったとしてもメインの現場で他の地方の参加者のアプリ開発に貢献できればみんなハッピーですね。むなしくならないのでこの参加方法もおススメだと思います。特に、状況に合わせて役目を自分で見つけられるタイプの人にフィットする方式だと考えています。

まとめと告知

 今回の #HoloHack も楽しかったです。地方からの関わり方がもう少しみえてきたイベントでした。ハッカソン運営・参加者の皆さん大変お疲れさまでした&ご参加ありがとうございました。会場を貸してくれた13LABOさんもありがとうございました。

 早速ですが来週2/27の地方イベントにも協力します。今回は神戸の三宮で行われるJapan XR Fest (#JapanXRFest)のトークを1件担当して、地方コミュニティにまつわるアレコレについて、特にコミュの存続のポイントについてお話しできるよう準備をしています。




(2022/2/21 2942字 120分 第一稿 公開)