2020/04/22 HoloLens Meetup@cluster Vol.1でLTしてみた

お疲れ様です。
先ほどHoloLens Meetup@cluster Vol.1のLT登壇を終え、一通り反応がチェックできましたので、補足をしようかなと思います。配信が帯域の問題に当たったのか音声がかなり聴こえづらかったようでした。左のパネルのチャットに気づかなくて申し訳ないです(;´・ω・)


別途音源は手元の環境で録音してはいますが、中継のアーカイブがどんな感じかによってはこのエントリ内で公開するかもしれません(しました)。

概要

 さっぽろのHoloLens Meetupは、さまざまなコミュニティの良いところを吸収して現地仕様にアレンジし、つい行きたくなるような場にしていき新陳代謝を上げていって活性化したのだけども、after 「No 三密」の世界では、できない事がたくさんになった。とりわけ、人に会ってはいけないというのは強力で、ウェアラブルデバイスの体験提供自体が封じられて、この状況で誰が新技術の受信を行えるのかという問題に直面している。地方のコミュニティにおいては関東と異なり、デバイスそのものが地域に存在しない(エモートアンケートにて現地確認)という問題がさらにのしかかっている。これら二つの状況下において、MSを含む各社ベンダの新デバイスに関する新しい製品フィードバックは発生しなくなることが予想できる(補足も後述)。誰も幸せにならない。

 とはいえ、好奇心とGiver精神に溢れる開発者コミュニティメンバーがこのまま何もできずに去っていくのも悲しいものがある。そこで、希望的な提言として「やる気ないMRアンバサダー(別名必殺かぶせ人)」制度と、それをとりまとめる「つよつよ芋づるシステム」の形成を予言させてもらった(命名のセンスは小林製薬メソッドなので気にしないでください)。

 すでに社会を取り巻く価値観は反転しており、無対策での集会行動はタブーになった世界を前提とする。必殺かぶせ人は各地方に細かく配置されたxR好きの個人の集合をなし、ウェアラブルデバイスを適切に体験させる事をミッションとする。しかし1-2人/二週間くらいしか体験を提供しない。社会への悪影響をリスクコントロールしながら地道に外部に啓蒙活動する。一方で、オンラインにおいては普通に活動し、各人が活動で得られた知見を、かぶせ人ミートアップなどの新たな発言の場で共有する。ベンダのDevRel職はその情報を集めて開発に伝達することで、Developer Experienceの改善が出来るし、デバイスマーケティング職は、どこに技術が浸透したのかを集積することで、Digital Transformationを進めるうえでの勘所がつかめるようになる。
 在宅でくすぶっている、開発者・ユーザ会社・コミュニティ・ベンダ・学生と科学者・私がそれぞれワクワクできるものが今提供できるようになると思っており、この「六方良し」の構造を持ったサブのエコシステムがもしあったらいいなぁという妄想を初めて語ってみた。ウェアラブルデバイスのミートアップではこの話題は初めてであると思う。

という話でした(五分じゃ無理)

社会の価値観(行動原理)の反転と、影響範囲について

 一般のニュースを見る限り、どうしても外でしか経済活動を出来ない人達を除く人々は「不要不急の外出はしない方がよい」という認識で染まったように見えます。余裕のある企業と、そもそもリモート可能な業種が早々に社員に出勤停止と集会禁止を通告している状況です。今までの、「直接会うことで効率的に人となりなどを理解する」といった行動の前半部分が善行から悪業(言い過ぎ)に反転した世界になりました。また、感染経路特定の難しいウイルスがはびこっている現状で外出そのものが危険であるため、人の移動も起きない状態になっています。

 コミュニティ運営として真っ先に開催不能になるのが、実会場でのハッカソンです。ハンズオンセミナーも数時間要することが多いので開催不可能です。もくもく会は口を開かない時間が長ければ開催できるのかもしれないですが、会場になる公共施設の消毒体制の管理や、出入りする人の健康を追跡調査するリスクを非営利コミュとしては担保できないので不可とします。今までのミートアップでは、アイスブレイクとして対面で各々の偏愛を語ってもらうセクションがありましたが、これも無理でしょう。

 つまり、開催者視点で考えた時には、参加している人の得意技をハッカソンで知ることもできず、参加している人の技術をハンズオンで伸ばすこともできず、一緒に開発して経験を積むことも、興味対象を知ることも出来ないということになります。知識を一方向に伝達する事だけが出来ます。

 一方、参加者として考えた時には何が起きるかも深刻です。移動が制限されているのでそもそも遠方のコミュニティイベントに行くことが出来ません。例えば私は昨年二年間で、札幌に無い技術のイベントは参加する・手伝ってみる・登壇してみる・運営してみるを経験しました。己を精密に知ってもらうための行動でしたが、今後はこれらすべてが不可能です。また、文化を知るために現場に行って雰囲気を知ることを目的にもしていましたが運営の姿が視えないためそれも叶いません。

 最後に開発者目線で考えた時にはもっと絶望的で、デバイスを所有して自らが開発したアプリコンテンツを誰かに体験させた時に起こるリスクを管理できない(=加害者にも被害者にもなりうる)点を軽視できる人はいないと思います。レアデバイスであればあるほど、好奇心を持った体験希望者n人が押し寄せる結果になるので、危険度がn乗で上がっていく結果になります。場にn人の体験希望者が居れば体験時間は1/nになり、体験者がよさを感じるまでのしきい値の体験時間には達することなく終わる可能性があります。リスクが0だったときはそれが許せても、命がかかるとなれば優先度は下がります。現状でリスク評価が出来てない(誰でもうつる)ことを考えても、公衆の場に自作コンテンツを持ち込んで体験させることはできないはずです。企業内でxR関連技術をすでに開発している人々は、あえてリスクを冒さずとも案件の開発に専従していればひとまず安全ともいえるので、機会を取らずに現状維持をとるという結論になることが理解できます。

 つまりまた運営者目線で影響に関してまとめると、コミュニティイベントで参加者さん達にそれぞれ得てもらえる特殊な体験がほぼ何もないという状況になります。運営者は参加者を知ることが出来ず、参加者間および運営ー参加者のコミュニケーションもハードルが高く、地元の開発者は積極的な貢献をする理由がないという事です。新規の人々に参加してもらえる可能性を内外に提示できません。

 とはいえxRの関連技術こそが、人に会わずに仕事を進めるイメージの具体化されたものであることは間違いがなく、今まで普及してこなかったこの概念を生活圏内に広めることが出来なければ、日常生活すらもリスクにさらされ続ける状態が長く続きます。そんなわけで私個人の立場としては、「リスクコントロールが最低限機能しそうな条件で、外に広める活動を継続する」活動が仕組み化されると、エバンジェリスト気質の人たちは動きやすくなるのではないかと考えた次第です。

必殺かぶせ人の新エコシステム(笑っていいとも方式)

 まず第一に、xR技術の現状を誰かにアテンドしたうえで万が一感染したら自分のところでキッチリ止めるという条件が守られることが、周囲に理解を得るための第一条件かと考えます。なので、誰かに会った後の所定期間外出自粛を経済的インセンティブにします。その間に体調の異変を感じた場合はその時点で濃厚接触者1~2名なわけですので、感染経路特定の材料を提供できます。ここは、後ろ2週間程度の自身の過去をコントロールしながら過ごす技術が求められますね。アテンドを提供する相手は、自身がコミュ活動の中で信用できると判断した人に限ってもいいと思います。判断基準は各自で決めればよいと思いますが、むざむざ危険を拡大する行為に繋がらない条件が設定できればよいかと思います。


 そのうちに手持ちの信頼ネットワークが尽きてアテンド相手が居なくなるかもしれませんが、アテンド相手が持つ信頼ネットワークを借りて次の新しい人(社外)にアテンドをする仕組みにすると、安全が維持できると考えます。講演中ではこれを「つよつよ芋づるシステム」の一本の根としていました。2,3週間の期間があれば、アテンド相手の人脈の中に、同じような志向のxR体験志望者が見つかってもおかしくはないので、その人を紹介してもらいます。それによって、かぶせ人は新たな機会とフィードバックが得られる事になります。笑っていいとも方式とも言っていいと思います(テレフォンショッキングが古くて伝わらなさそうなので言うのを辞めた)。見つからなかったら見つからなかったでその期間はお休みしておけば、前述のインセンティブもあるし、全く困らない状態が維持できてるはずなので大丈夫です。無差別にアテンド相手を増やすよりは、信用問題を盾に取ったピンポイントマーケティングを繰り返す方が感染リスクも抑えやすく、機会の多様化も生まれやすいのではないでしょうか。

 かぶせ人ミートアップは是非組み込んだ方がいいと思っています。ここがベンダさんにとっていちばん美味しいところでもあります。各拠点に発生した笑っていいとも方式のアテンド結果から、有用な情報を共有するための場を設定してオンラインミートアップ形式で発表しあう事を想像します。かぶせ人同士は遠隔のミートアップをすでに経ているので、運営上なんのリスクもない状態でミートアップを自由にデザインできますよね。今回のclusterミートアップのように。「何のUIが何の業種のどこどこに刺さった」「これこれのアプリをどこどこに応用するアイデアが出た」なんかを集めていけば、DevRelさん達が求めるUX改善の種が精度よく手に入る事になります。また、「どこどこの業種の人は似た志向でどこどこの業種とつながっていた」「どこどこの業界に刺さっていったかぶせ人たち数名は一様にデバイス導入にこぎつけた」みたいな情報は、デバイスマーケティングの人たちが求めているであろう働き方改革の売り先を見極めるためのデータになると想像します(どっちもやったことないので知らんけど)。Developer ExperienseとDigirtal Transformationの2つのDXを改善するための情報が集まる場になると、かぶせ人の生活もさらに面白くなっていくと思います。定常的なイベント管理がしやすくなったので、やりっぱなしで終わらないで済むところが現代のミソなんですよね。

 六方良しの関係がチョットデキル、というスライドを最後に持ってきました。一番大事なのは、好奇心を持ってアレコレ発信していたコミュ人がこの危機の中で真っ先に退場する事を阻止する事です。深くこの活動に取り組んでいた方ほど、「今までの努力はなんだったのか」と思いかねない状況にハマっているかと思っていて(自分は実験科学×遠隔支援だったのであんまり気にしてない)、小さくても光明があることはいいと考えています。大きなお世話だったらごめんなさい。言うだけならタダなので、とりあえず言ってみたというお話でした。これは、外の世界にいる私しか言えないと思いました。

↑私の視界から見たアンケート結果。札幌コミュニティにはHoloLens 2実機は永遠に来ない。かぶせ人システムで普及進みそう にyesが見た目で8割くらい(動画撮っておけばよかった。)

札幌でみんなでHolo 2持ち寄って↓をするのが夢だったんだけどな…(´・ω・)

最後に、前半のキモだったコミュニティオマージュのスライドを各コミュのマネージャーさんへの感謝のしるしに貼っておきます(説明時間なかった)。わけわかんない感じの素人マンを受け入れてくれてありがとうございましたm(__)m

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(2020/4/22執筆 4875字)

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