愛知和男氏との対話 03

 愛知和男氏は、こう語った。

■ 石破茂氏の姿勢

 「自民党総裁候補による合同記者会見があった」。
 「テレビでこの模様を見ていて、十年程前のアメリカ大統領選挙を思い出した。ブッシュとゴアの戦いである」。
 「公開討論会でゴアが、ブッシュがしゃべっている最中、ため息をもらしたり首を振ったりいかにもブッシュをバカにしている姿勢と受取られる行為があったのだが、これが非常に評判が悪くゴアはだいぶ票を減らしたと言われている」。
 「今回の自民党の総裁選挙では石破氏の態度がゴア氏の態度と似ていた。つまり、他候補の話を聞きながら苦笑いを見せたり首を振ったり知る所作である。この人は他候補をバカにしているつもりなないのであろうが、そのような誤解を受ける行為であった。彼が同僚議員の間で評判が悪いのは、こういった行為のためではないか」。
 「私は彼の主張に賛成するところ少なくないので、極めて残念に思った」。

 平成の始め、細川護熙内閣が成立した前後、愛知和男氏と石破茂氏は共に自民党を離党して、新生党と新進党に加わり、その後、自民党に復党した。愛知氏も石破氏も政治の師匠が同じ田中角栄であったのだから、御両人には似たような空気がある。だから、不肖・櫻田も、石破氏には「永田町」の中で最も親近感を覚えている。此度の総裁選挙に際して、「理としては菅、情としては石破、感性としては岸田」と評したのは、石破氏に対して何よりの「情」を感じるからである。愛知氏が評するように、石破氏における振る舞いの「無神経さ」は、彼の欠点かもしれないが、真面目に語り合っていれば彼の見識は相当なものであるということが判るのである。特に、右派層における彼の評判の悪さも、不肖・櫻田には腑に落ちないところがある。

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