見出し画像

春国岱、根室《23》外出自粛でも旅の気分

北海道東部の根釧台地を東に進んでゆくと、それまで近くを並んで走ってきた国道44号線と根室本線が厚床で別れる。鉄道は南に進み太平洋側を根室に向かう。国道はというと、そのまま東を目指して進む。そして根室半島のつけ根の北側で根室湾に出会う。そこは低湿地で、左に風蓮湖、右に温根沼があって陸地部分が僅か。双方とも汽水湖、つまり海水と淡水が入り混じる水辺なのだ。まるで根室半島がちぎれて島になるギリギリのところでつながっているようだ。

何年も前に花咲線と呼ばれる根室本線の厚床で下車し、駅前から国道を走る路線バスで根室に向かった。そのとき、バス車窓からチラリとみた風蓮湖に行ってみたかった。でもこのバスは1日に2、3本だけ。ここで降りたら根室に行けなくなってしまう。地方の旅ではそういうことはいくらでもあるのだ。というわけで、次はレンタカーにした。2016年のことだ。

風蓮湖は国道からすぐ。風蓮湖を根室湾から区切るのは春国岱(しゅんくにたい)という大きな細長い砂州で、長さは8kmもある。実際のところ見どころはこの春国岱なのだ。地図では海と砂州の境界が「線」で引いてあるけれど、ほとんど標高ゼロ(最高地点は3m弱らしい)に近く、水面と砂州の区切りはあいまいで湿地がその中間ゾーンだ。明らかに陸地だというところには苔や草や木が生え、林もある。林の外縁には立ち枯れて風化した白い木も目立つ。観光客はというと、ほとんどいないのだが、散策用の木道を歩く。あっ、エゾシカと目が合った。ここは野生の天国なのだろう。

#いま自分にできること #春国岱 #風蓮湖 #外出自粛 #stayhome

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?