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朝熊山から伊勢湾《32》外出自粛でも旅の気分

伊勢の朝熊山(あさまやま)には山頂付近に金剛證寺という寺院がある。伊勢神宮の鬼門を守る寺として古くから信仰されてきたというのだ。そんなことをまったく知らず、伊勢神宮へのお参りの旅を企画していた。一度は行ってみたいところとして伊勢神宮はいつも気にかかっていたが、やっと2018年に実現の運びになった。旅の行程や周遊地点を調べていたときに、この朝熊山のことを知ったのだった。

そのなかで「伊勢へ参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」という言葉が目に飛び込んできた。伊勢神宮の奥之院ともある。要するに、お伊勢参りに行ったら、朝熊山(=金剛證寺)もお参りしないと充分でないということらしい。そういう習俗や言伝えにはなるべく従うようにしているので、朝熊山行きはすぐ決まった。

決まったけれど、交通手段に困った。伊勢までは近鉄特急で問題なし。本数も多い。が、この山上の寺はどうしよう。伊勢市から参宮バスがあるにはあるけれど、土休日のみ1日5本。ちょっと窮屈なので、近鉄特急を降りたらレンタカーにした。こうすると一気に自由度は高まり、快適な山上ドライブとなった。路線バスの旅情は残念ながらなくなったけれど。

2月の山上ゆえ、池には氷が張り、所々に雪が残る。境内は坂になっていて石段で上下する。こんな山上によくも大寺院を立てたものと、信仰の力に感心。外宮内宮をお参りしてきたので夕方が近づいてきて、寒い。が、山上の寺院を尋ねるのにはいい感じでもある。

寺の近くに展望台はあった。徐々に夕闇が迫るなか遠く伊勢湾を望み、多くの島々が海の紺碧とうっすら赤みががった空と濃い雲の光景の中に見える。冷たい風が吹くも絶家だ。朝熊山は鳥羽の海近くに屹立するため、海岸平野から急に上昇するくっきりとした山容が望める。そして頂上付近の稜線は伊勢の国と志摩の国との境でもあるのだった。

#いま自分にできること #朝熊山 #伊勢参り #外出自粛 #stayhome

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