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著者による本の販促~秋のフェア

小柳淳

自著のフェアを開いている。『旅のことばを読む』という旅のエッセイを6月に出版した。その販促としての秋のフェアだ。私は下北沢の棚貸書店Bookshop Travellerにひとつ棚を借りて、街々書林というひと箱書店を運営している。そのため、そこでフェアを開催できた。

本と著者と販促と

 この本、『旅のことばを読む』は旅の本を読んで過去現在未来の旅に想いを馳せたり、旅の空にあって今まで読んだ本のフレーズを思い出したりしたりする、そんな書き方になっている。本に本がたくさん入っている、マトリョーシカのような本の入れ子の旅の本だ。ただ、旅の本といってもガイドブック的な本は少なく、旅に出かける土地の言語や幾層にも積み重なっている歴史の厚み、船旅や路線バスの旅、道路や飛行機、時刻表や地図などの旅のツールも含んでいる。そして最後の章は、旅人。カレル・チャペック、鶴見良行、松尾芭蕉を想い起こしたり、温泉を旅する山崎まゆみ、昭和から平成の日本を旅したフーテンの寅こと車寅次郎。本の中にある本は79冊になった。
 あっ、フェアだった。この文章は著者とフェアがテーマ。著者が販促をしてもいいと思っている。文章を書いて本にするのは生産。生産者が自ら販促をするのはどの産業でもよくあることだし、自分で書いた本は少しでも多くの人に読んでほしい。いままではホームページを作ったりSNSなどにPRをしたりばかりだったけれど、いまは小さくとも(幅45cm!)書店という売る場所があるのだ。そして、この街々書林という「ひと箱書店」は、旅の本を集めた本屋なのだ。たまたまながら、『旅のことばを読む』と構造が同じ。
 そのため、フェアもマトリョーシカ的入れ子型になった。書店内のイベント展示台に『旅のことばを読む』をドンッと積む。その周りにこの本の中で語る本を配列して、「読んでから読むか」みたいに立体的な展示ができた。しかもその本たちは、街々書林の棚からフェア台に移動させたものばかり。フェアを始めてみると、『旅のことばを読む』を読む前に周囲に陳列してある本を買う方もいる。まっ、予想どおりではあるけれど、『旅のことばを読む』を買ってほしい、な。

フェアをどうつくっていくか

 フェアをします。と宣言して、フェア台に本を並べればなんとかフェアとしては成立しはする。しかし、それって作り手・送り手の視線でしかないように思う。テレビCMで15秒間の最後に「キャンペーン実施中!」と言うみたい。これって、何のことやら理解できない、まあ何かやっているのねという程度の生産者志向で作っている、そんなCMと発想が似ている気がする。でもなぁ、フェアして本を売りたいというのは本音だから、そこに何をプラスしたらいいのだろう。そんなことを悶々と考えて、ひねり出したプラスαが次のようなことになった。

その1 自分がなるべくフェア会場にいるようにする
在店率が高いと来客も多いと言われて。フェア期間12日のうち、9日在店として、在店日を事前に告知。

おまけ 別冊・visual版リーフレット

その2 別冊のおまけを作る
『旅のことばを読む』は文章だけの本で、写真も図版も地図もない。旅の本なのに、文章で勝負なのだ。でも、出版後に、「語られている場所の写真を見たい」という声もあった。ではというわけで、『旅のことばを読む』に旅する土地やことの写真を集めてリーフレットを作った。題して「別冊・『旅のことばを読む』visual版リーフレット」。名称はちょっと立派だけれど、A4両面刷りの手作り。A4のままでは芸がないので、長手方向の横向きにして、それを六ツ折の細長いものに畳んで、トレペにプリントした筒状の帯をつける。
 このアイデアが気に入り、フェア名を「『旅のことばを読む』visualリーフ・フェア」と決めた。

その3 特製しおり3点セット
これもおまけとして。もともと、『旅のことばを読む』を作ったときに、カバーの紙に余裕があったのでデザイナーさんがしおりを3種作ってくれた。通常の販売時はそのどれかが本に挟まっている。しおりも、3枚を束ねる紙の筒状帯を作った。
 この別冊・visual版リーフレットと特製しおり3点セットをフェア会場で『旅のことばを読む』を買ってくださった方に差し上げることにした。

T字型の「塔」

その4 塔を立てる
 フェアは平台に本を並べるのだが、それでは平板な印象はぬぐえない。そのため、平台の上にフェアを示す「塔」のようなものを立てようと考えた。高さは60cmくらいあればいいかな。そんなことを考えていたら、ちょうど街々書林のあるBookshop Traveller店主の和氣正幸さんが良いものを買いましたよ、っと見せてくれたのがT字型金具。Tの上の棒にクリップが付いていて掲示物を下げられる。塔のように下から積み上げるのではなく、上から吊るのだ。これはちょうどよいので利用することにした。塔の作り方に悩んでいたところだったので、グッドタイミングなことで助かった。

 フェアは2022年9月3日(土)から18日(日)と決まった。幸い会場がポンとこの期間が空いていたのだ。私はよく言えば「善は急げ」、実際はあまり先の予定を考えたり決めたくないのだ。まあ、我儘でもある。

フェアをはじめてみて

 フェアを前にして情報解禁日を設定した。これって、書籍1点のフェアにしてはかなりというか相当大袈裟なことだ。でも、大袈裟であっても気合をいれて臨んだ方が面白い。出版社さんにも「情報解禁日は〇〇ですよ」っと伝えて、それまでにホームページ特設ページやSNS用の写真などを準備した。うん、やはり大袈裟な気がする。ただ、詳細は伏せてのティーザー的記事は8月下旬からアップした。
 解禁日つまり宣伝開始の日は早やすぎず遅すぎずが難しい。もともとマスメディアは使わないし使えない。SNSが中心ということはどうしても情報が一次的に届く範囲は限られる。早すぎると、買い控えが発生しても困る(これもかなり大袈裟な心配)。遅すぎると集客できない。結局、フェア開始の3日前の8月31日にSNSのアップロードを始めた。それ以降、次々とSNSに記事を書いている。「始まります」「おまけはこの2点」「著者がいる在店日は〇、〇日」「始まりました」「ぜひ来てください」「フェア展示の光景はこんな感じ」と厭きもせず次々とだ。商売は「あきない」というけれど、そう厭きてはいけないのだ、っと実感する。
 初日は3日の土曜日だった。開店より前にBookshop Travellerに行って、フェア台を整え、T字金具の「塔」を立てる。準備万端! 営業時間は12:00から19:00だ。そして、19:00になった。あ~~~、残念ながら売れた本は「0」だった。ちょっと(相当)がっかりしたけれど、ここでくじけてはいけない。ばかばかしいほど愚直に続けなくては、いけないと思い直す。そう、商売はあきないなのだ。
 今日は定休日なので、フェアは開始以来4日間が過ぎた。あと8日ある。幸い、この4日間に友人が来たり、展示の中から旅の本を買ってくださったりと、ホッとする嬉しいこともあった。ある友人など、『旅のことばを読む』は持ってるのでサインをしてほしいと、そのためにわざわざ下北沢まで出かけてきてくれた。そのうえ、別の本をお買あげ!感謝です。そう、『旅のことばを読む』をすでに持っている方には、おまけの2点は差しあげるとも告知していたのだった。
 なるべく在店する日を多くしてその期日を事前告知としていた。最初の4日間のうち3日間は在店日だった。書店にいればフラリと入ってくださったお客さまにフェアの話や説明もできる。そう、ここは声をかけてもイヤそうな顔をする方が少ない店なのだ。もちろん、興味なさそうな人には話をごく短く切り上げる。そうして話をしていると、他の旅の本に興味を持ってくださったり、家族の出身地に関わるテーマだからこの本を、などと展開がある。それはそれで楽しい時間だ。

Bookshop Traveller内 街々書林の棚

フェアは中盤へ

 さて、明日9月9日(金)は再びBookshop Travellerの営業日。ここは水・木曜日が定休日なのだ。金曜日には私も下北沢に向かう。フェアの概要は次のとおりなので、よろしければどうぞお越しください。
フェア期間
   2022年9月3日(土)~9月18日(日)        ※ 水・木曜日は定休日
営業時間 
 12:00~19:00
著者在店日
 期間中の、日、火、金曜日(4、6、9、11、13、16、18日)、と3日、17日の土曜日
フェア内容は本文のとおりです。なお、次の特設ページにも概要が載っています。
『旅のことばを読む』とフェアの特設ページ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~hongkong/tabinokotoba.html
 


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