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Creality K1で大物の印刷が停止するのでメインボードを交換した話

どうやらCreality K1のレアな初期不良に当たったので事象の紹介と修理について書き残しておこうと思います。


この記事で使用しているデータについて

出力データに以下を使用しています。
https://www.printables.com/model/463890-mist-dragon

何が起きたのか?

一定以上のサイズのGcodeの印刷中に3Dプリンターのシステムが停止します。2ヶ月ほど小物しか印刷していなかったので発生していませんでした。
以下は検証した停止事例です。正月からなんでこんなことに…つらい。

ナンデ!?

いくつかの可能性が考えられます。というのもCreality K1は内部でWebサーバー機能も有しているため、システムダウンの原因となるとネットワーク機能やプリンターのファームウェアのどれか、ハードウェアetc…と広範に考慮する必要があります。
それらを踏まえて可能性があるのは…

  • ネットワーク機能

    • LAN外の通信(Creality Colud)
      常日頃から不安定なので怪しい。

    • LAN内の通信(Fluidd等)
      カメラの表示カクつくことが多い、負荷が高そう。

  • Gcodeのサイズ
    100〜200MBのGcodeはCreality K1では初めて扱った。また、今回扱っている形状は複雑で1レイヤーあたりのデータサイズが大きい。
    これによりシステム負荷が高くなった可能性がある。

  • 印刷速度
    大きなモデルでは加速距離が十分に取れるため500mm/s前後とプリンターの限界に近い速度でヘッドが動く。これで2時間程度は動かした実績はあるが、12時間以上は初めて。

  • OrcaSlicerやFluiddによる問題
    広く使われているものの、純正ではないソフトウェアによる可能性は疑うべき。

  • 内部ストレージやRAM等、電子部品の不良
    これが一番最悪で内部の基板を交換するしかありません。

個人的な調査の結果

  • ネットワーク機能

    • LAN外の通信(Creality Colud)

    • LAN内の通信(Fluidd等)
      AtomCamを設置して監視運用したが停止が発生した。因果関係なし。

  • Gcodeのサイズ
    数十MBでは発生しない。約100MB以上で停止が発生する。

  • 印刷速度
    因果関係なし。

  • OrcaSlicerやFluiddによる問題
    純正FWとスライサーで作成した約100MB以上のGcodeで停止した。

  • 内部ストレージやRAM等、電子部品の不良
    以下のような現象が確認できたので可能性が高そう。

    • 一定以上のサイズのデータで停止

    • 停止までの時間が10時間弱か1〜2時間、交互に発生

というわけで、使い方の問題ではなく、手に負えない故障のようでした。

これは憶測ですが、昔の3DプリンターのSDカード由来の停止に近い印象です。同梱されていた製造元不明Micro SDカードを使うと動かないが、有名メーカー製MicroSDカードに変えたら治る類の問題にすごく似ています。
Creality K1はメインボードにSanDiskのチップが実装されているのでメインボードごと交換するしかありません。

販売元に連絡してみる

このCreality K1はAmazon経由で直販で購入しました。なのでAmazonのチャットで連絡を取る必要があります。ちなみに過去にホットエンドを不良を連絡したら交換してくださいって返してきたので交渉ハードルは高いかもしれません。今回は強気に1度に3メッセージほど送りました。

すると、無償でメインボードを送付してくれることになりました。
ついでにホットエンドも送ってくれました。
ありがとう、Creality 公式ストア。

到着したメインボード

ちょっとだけ構成が異なるメインボードが届きました。

ブザーが無かったりMicro USBポートが増設されていたり、なんかちょっと違います。販売しながらガンガン改修入れていく深圳みを感じますね。

本体の脚と底板を外して、メインボードに繋がる配線を外して、メインボードを交換します。コネクターは表面から接着剤が塗られているので、接着剤を軽く切ったり剥がすと作業しやすいと思います。

以下はもし交換する時の配線の参考にしてください。

なお、初期FWのバージョンは1.3.1.28でした。最新FWではありませんが、購入時より1世代新しいFWです。

交換後の出力テスト

1.3.1.28とFluiddとOrca Slicerの組み合わせで完動しました。

さらに、665MBのGcodeを59時間かけて出力することも確認できました。
(製品仕様としては出来て当たり前ですが)

あとがき

Creality K1/K1C/K1 MAXのユーザーは、保証期間があるうちに可能な限り大きなGcodeを出力してテストした方が良いと思います。
Aliexpressでメインボード等を入手出来るので保証期間後でも解決出来ますが1万円前後を要する上にそのボードが正常か保証はありません。早いうちに確認しておくと良いのではないでしょうか。

この不良は実際に大きな出力をしてみないと発覚しないというのが厄介です。ユーザー側でチェックする仕組みが提供されていたら良いのですが…そもそも検品時に検出すべき故障ですし。

こういうトラブルを回避したい場合、やはりBambu Lab X1-Carbon AMS ComboかP1S AMS Comboを買うと良いと思います。

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