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花ざかりの校庭 第32回『クラブサンド』

【梗概】
小寺麻里と浅子、二人は田畑高志をめぐって三角関係に。一方、福山司郎は大阪での探検部のスポンサーを決定力していた。


「あの人、お金持ってそうだから…、ねぇ?」


眼鏡の奥でしおんは意味ありげに笑っている。


「何?」
「ついでに卒業したら浅子さんにあのクルマも譲ってもらえばいいんじゃないかな?」
「……バカな」


しおんは高校最後の冬休み……滋賀に帰省するという。


12月のクリスマスには雪が降り始める。


比良のスキー場で実家の手伝いをする予定だ。


「で、貴女は今年のクリスマスは高志くんと二人というわけですか?」
「……えっ?」
麻里の体が反応していた。
赤くなる。


「浅子さんなんでも譲ってくれるね?」


しおんは顔に似合わず毒がある。


「違う!断じて。あの時、私おしかけたし」


彼女はクラスの中では地味で目立たない存在だったが、麻里の見る限り、猫をかぶっているのだ。岡倉先生と進んでいるのだろうか?


「そして、押し倒す?」


しおんはクラブサンドをパクつきながら言った。
よく、食欲がある子は男好きだと言うが。


「……それ、私に差し入れじゃなかったの?」
彼女はクラスの「まだたくさんあるから」と言った。

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