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ポートスタンレー1982(ブラックバック作戦)

【当時の西側の資料をもとにしているため、公平性に欠いていることを了承おねがいします】

けさ この時、フィアレスの上陸コマンドは、この上陸作戦は『軍事的』に不可能だと口にしていたという。
 「完全な制空権の確保をしてから」
 これが作戦室の一致した意見だった。
 でないと、彼らコマンドは全く防御するすべもなく、空からの格好の標的にされる。
 テイラー少佐はハム無線網とSASの偵察結果を照合していた。
 「やばいな」
 彼は呟いた。
 「制空権もさることながら……アルゼンチン海兵隊は野戦陣地を構築し始めているようです」
 テイラー少佐は言った。
 「数は分かったか?」
 「未だに不明です……ただスタンレー占拠からかなり経ってますから、敵の方が数では優勢でしよう」
 テイラー少佐は野戦地図に陣地のチェックを入れていった。
 後に判明するのだが、実はアルゼンチン兵は一万余駐留していたのだ。
 英国上陸部隊は何と、その三分の一に過ぎなかった。
 統制艦フィアレスの作戦参謀たちは、この時、アルゼンチン北部にバルカンで戦略爆撃を再三要求していた。
 実は、先の『ブラックバック作戦』を立案したビータムという空軍の司令官も同じことを言っている。
 そもそも『フォークランド島奪還』事態が軍部の専門家から言わせれば短期間で終結させることなど不可能だったという。

 「期間を延ばせればよい」


 そう考えたくなる。
 「政治問題に発展する」
 これがサッチャー側がアブロ・バルカン爆撃機を再投入することを拒否した理由だ。
 「時間が経つに従って厭戦ムードが漂い始める」
 この間、サッチャー内閣は世界の中で孤立を深めていた。
 「期限つきで上陸作戦を成功させなさい」
 条件は一切変わらなかった。
 「一カ月で」
 戦争が長引けば、国際世論はサッチャーの戦時内閣そのものを分断してしまいかねない。
 各国の経済圧力も、いつまで続くかアテにならないのだ。
 仮に、戦時がそれ以上続けば、世界の政治的均衡はバランスが崩れ始める。
 扇子を束ねた糸がほどける様に……。
 そのタイミングをぬって『ソヴィエト』が動き始める……。
 つまり、不測の代理戦争が別のところで勃発しかねないのだ。
 このサッチャーが買って出た『フォークランド戦争』は一つ間違えれば「イギリスのヴェトナム戦争」になりかねないのだ。
 アメリカ国務省長官ヘイグが『抑え込む』形でサボタージュし続けた南アメリカの留め金を外したのは他ならぬ鉄の女サッチャーだった。
 『孤立するマギー』
 タイムズ紙は『フォークランド戦争』が先行きが良くないと書いていた。

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