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花ざかりの校庭 第35回 『パールピンク③』


「お酒はダメだから……未成年でしょ?」
「ええ」
福山の前を歩く。
浅子の下半身はしなやかに動いていた。


「ジンジャーエールにします」
「……そうね、いい感じ」


途中、浅子は何かを言おうとしたが、可笑しそうに口元をおさえてククッと笑った。
「何を笑ってるんですか?」
「いえ、何にも」


浅子の瞳は、彼のそういう類いの欲情を軽く受けとり、まるでそれが当たり前のことのように受け流している


「さぁさ、行こう」
浅子は先に立って歩き始めた。


はるかに大人だった。
二人はカウンターにむかった。
「……面白い本を読んでるのね?」
……ローマの貨幣……という表題の本を福山が手にしているのを見て、浅子は好奇心を抱いているみたいだ。


恥ずかしくもあった。
「わかりますか?」
「んーと、わかるかも知れない、わからないかもしれない」
浅子は言った。


「これ、俺的には最高なんですよ」
「ホント?」
「はい」
「時間とらせてごめんね、少し愚痴を言いたくて……」


福山は笑っていた。
「愚痴……ですか?いいですよ」
「少し話したくて」
浅子は少し涙をこらえているみたいだ。


「いいんです」
……好い人だな。と福山は思った。
「あいつのことでしょ?」
浅子は赤くなる、
「そ、そう」

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