【争奪戦!!】IT人財が不足しすぎてる

いろんな企業のお話を聞いていると、必ず経営層から出てくるのが「計画通りに採用できなくて困っている」というニュアンスのことです。

2001年の就職氷河期、2008年のリーマンショック等をきっかけに新規採用を中止したり数を極端に減らしてきた企業は40歳前後の人財がそもそも社内にあまり居ない状況だったりします。
また、IT企業の特殊な事情ですが、オフショアやニアショアが一気に広がった業界ですので、社内にノウハウ(ナレッジ)が蓄積されず企業の力が強くならずに今に至っている企業も結構あると思います。
同様に、社員だけでは賄えないプロジェクト型の施策を打つとスキルが足りないのはもちろんのこと、人手も足りないため、業務委託や派遣社員に頼る構図が常態化しました。このケースもノウハウ(ナレッジ)が社内に蓄積されませんね。

そして、今企業はどんな動きをしているかというと「内製化」です。
自社でなんとかノウハウ(ナレッジ)が蓄積していくような体制を整備しようとしています。

ただ、この内製化、目的が大きく2つに分かれています。
 ①業務委託の単価が高いから社員にやらせればいい!内製化や!(後ろ向き:費用削減目的)
 ②自社にノウハウが蓄積されていかないとマズい!内製化や!(前向き:経営基盤強化目的)

どちらが目的だったとしても、転職市場でのIT技術を持った人財の需要は非常に高い状況です。需要が供給を上回ってます。
需要が供給を上回るとどうなるんでしたっけ?
そうです、価格が高騰します。

上記①の場合には費用削減が目的の採用ですから高額な年収提示は行われません。今までの社内給与テーブルに添った年収提示となっていてIT技術者がIT業界の一般的に得られる収入を下回る年収になることが多いです。
そうするとIT技術者はその会社に入ろうと思うでしょうか。
「計画通りに採用できなくて困る」のが当然ですよね。
言葉を選ばずに人財が思っていそうなことを書くと
「そんな年収で入社するわけねーだろ・・・」です。

上記②の場合には目的が前向きで未来を見据えた人的投資の面があるため、上記①よりも積極的な採用活動と高い年収提示が行われている傾向があります。給与テーブルを変更できなければ専門子会社を作って新たな待遇での採用をするなど工夫が見られます。

受託でシステム開発やコンサルティングを提供する企業もまた、IT人財のニーズが増していることで増員をかけていて、中には高い年収を提示しているところも結構出てきました。

さて、あなたがIT技術者なら上記①、②、受託企業のどれを選ぶでしょうか。

人財を実際に勝ち取り、さらに実績を上げてきているのは
「高額な年収提示を行っている企業」です。当たり前ですよね。

優秀な人材は高額な年収提示が行われ、どんどん転職をしていきます。

IT人財は他職種に比べて流動性が高いです。
理由はいくつか考えられますが
 ①IT企業は新しい企業が多く昔ながらの退職金制度がない。
  (その代わり年収が比較的よい)
 ②IT技術の進歩が速すぎて同じ会社にいると自分が浦島太郎に
  なってしまい、市場価値が落ちてしまう。
 ③社内で評価されない(年収が上がらない)技術でも市場では
  その技術を高く買ってくれる企業が出てきた。
 ④転職するのが当たり前の環境が整った
 ⑤外資の日本法人が参入してきた
と、こんなところでしょうか。まだまだありそうですが。

採用ができなくて困っている企業の特徴は
 ①提示年収が異常に低い。
 (昔ながらの古い体質の凝り固まった大企業に多い。)
 ②提示年収は比較的高いが事業基盤が弱い。
 (スタートアップ、グロース企業に多い。)
 ③市場動向をちゃんと把握していない。
 ④費用削減を目的にしている。
 ⑤本気で採用しようとしていない。
 ⑥募集人財のレベルを下げる。(年収を上げるのではなく)
という感じでしょうか。

失敗例としては、
元々100点満点中の90点を取れるような人財を採用したいと思って最高提示年収1,000万円で募集したとします。
でも、そういう人財の市場価値が年収1,200万円だったとします。
そのときに採用失敗するパターンは、元々90点とれるような人財の採用だったはずなのに80点取れる人財を年収1,000万円で採用してしまうようなパターンです。

実際に採用できる人は経験が浅くて即戦力にならなかったり、精神的な弱さがあって扱いが難しかったり、といった話もよく聞きます。

元々、90点取れるような人財を採用しないといけなかったのは、そういう人財じゃないと対応できないような役割があったから。にも拘わらず、80点しか取れない人財では成果が十分に出せなかった、という当然と言えば当然なケースです。

「市場動向をちゃんと把握していない」という角度で少し掘り下げますが、IT人財の選択肢は世の中の変化によって増えてます。

 ①大手企業で既定の年収と退職金をもらう働き方
 ②IT企業の正社員を渡り歩き、年収とスキルを上げていく働き方
 ③終身雇用制の強い会社から成果主義・実力主義の会社へ転身する働き方
 ④フリーエンジニアやフリーコンサルタントになる働き方

40代で①だと年収700万円、②だと800万円以上、③だと1,000万円以上、④だと2,000万円が見込めると思います。

IT技術者やコンサルタントの世界はざっくりのイメージでこんな感じです。

①~③までが正社員ですから、①の働き方をしていた人が選ぶのは②③、②の人が選ぶのは③④、③の人がより年収アップやフレキシブルな働き方を求めて選ぶのが④
人生に疲れて給与は少なくてもいいから安定した環境でのんびり働きたいというような人は①を選ぶかもしれませんね。

あくまでも、こんな傾向がありそうだよっていう話ですので、1つの仮説として捉えて実体と比較していただければと思います。

なお、費用削減でIT関連の業務委託や派遣社員との契約を切ろうとしている場合、一度立ち止まって再考してみるとよいと思います。
一度契約を切ると二度と同じ単価での契約はできないと思うべきです。
「単価の低い企業に頼めばよい」という力が働きますが
単価と実力は比例すると思った方がよいです。やめた方がよいです。
マジでIT関連にお金を渋って良いことはひとつもありません。
トラブルしか生み出しません。

以上から言えそうなことは、とりあえず企業の今後の成長にITは中心的な役割を果たすため、ITに長けた人財の採用は最重要事項だということと、ちゃんとした人財は高額な年収提示じゃないと来てくれないよってことと、そういう高額な年収提示をして採用を増やしている企業が結果的に売上も利益も伸ばしているんですよってことでしょうか。

いくつか事例を載せておきます。
最近は大手も1000万円くらいの年収提示は普通です。
大手じゃない企業はもっと高い年収提示じゃないと、このレベルの人財採用は難しいと思いませんか。
特にファーストリテイリング、企業業績が伸びるのもわかりますよね。良い人財を採用できているようです。

■ファーストリテイリング(募集要項より)
 1)データサイエンティスト: 580万円-1,086万円 (月給:39万円-64万円)
 2)データサイエンティスト (リーダー職): 1,104万円-2,010万円 (月給:65万円-112万円)

■ソフトバンク
 1)IT戦略・IT企画コンサルタント、事業企画/事業統括(事業管理、事業推進含む)、新規事業開発:710万円~1147万円想定理論年収

■日本オラクル
 1)平均年収1046万円