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スタッグス リープ地区 AVA

1月初めにカリストガ AVAについて書きましたが、その時にナパ バレーにはサブ AVAとして認可されている地区が 16地区ある云々と説明しました。一番最後に認可を受けたのがカリストガ(2009年)でしたが、今日紹介する Stagsスタッグス LeapリープDistrict(地区)AVAは 1989年です。

ここで有名なワイナリーの一つに Stag's Leap Wine Cellarsというものがありますが、よく似ているのが Stags’ Leap Winery。どちらも Stags Leap District AVAにあります。というところまでを読んで「おや?」と思った方は目が鋭い。カタカナで書くと「スタッグス リープ」といずれも同じですが、英語では3種類の異なった書き方になっています、ね。これには面白いストーリーがあるのですが、それについてはまた別に書くことにして、今日はこの AVAの話です。

ナパ バレーはおおよそ南北に50kmくらいの平地が広がり、その両側を山地が囲っている、およそそういう場所です。その平地にぶどう畑が広がっています。通常ぶどう畑というと緩やかな山の斜面に広がっている情景を想像しますが、ナパ バレーの場合は、この平原が主に知られた産地になっています。しかし、その周囲の山の斜面あるいは頂上に広がる土地もまたぶどうの産地としては、気候や土壌が個性的な畑も注目されています。平地にあるスタッグス リープ地区の、背景の山は岩山、これは火山岩です。その火山岩が徐々に風化し崩れて平地に落ちてくる、という痩せた土地です。この地区はつい1960年代までは羊の放牧にしか使えないとさえ言われていました。それが俄然注目されたのは一つの歴史的イベントがあったのでしたが、その話も長くなるのでまた別の機会に。

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今日は Stags Leap District AVAの誕生日を祝して Kukeriというワイン。ほとんど知られていないブランドですが、これは僕の至宝の一つです。このワインのぶどうが Stags Leap Districtのものなのです。2018年栽培のカベルネ ソヴィニオン品種。このワインの作り手(ワインメーカー)さんはブルガリアの出で、Kukeriというのはその儀式的民族舞踊なのだそうです。ボトルの裏ラベルに説明があります。その儀式はワイン、豊穣、そして復活の神バッカスにも捧げる民族の踊り。善と邪悪、どちらも僕らと共にあるものですが、激しい踊りでその邪悪を追い払い、やがて始まる春の季節に向けて健康を祈り、幸せと豊穣な土壌に感謝を捧げるのだそうです。

今夜はStags Leap District AVAへの祝杯を挙げ、本当の春の訪れを心待ちにしながら、Kukeriの赤いワインをいただいています。

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