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Mount Veeder AVA

ナパ バレーAVAというワイン産地の中に、中でもさらに特有のワイン産地がある、これをサブ AVAと言ったり、ネスティッド AVAと言ったり。これまでもいくつか紹介してきましたが、今日はマウント ヴィーダー (ネスティッド)AVAです。というのは今日がその誕生日ですからね。もう32年も前の 1990年3月22日です。

ナパ バレーを訪ねたことがある方は記憶を辿ってみてください。ぶどうの木が列になって並んでいた情景が浮かんでくると思います。細長い平地があって、その中に広がる畑はほぼ例外なくぶどう畑ですね。そうです、そこは世界でも有数のワイン産地ですから。しかし注意していただきたいのは、ナパ バレーのぶどう畑は平地にだけ広がるのではなくて、山地にも広がっているのです。山地と平地とでは環境が違いますからね、ぶどうの実も違った育ち方をするわけです。山地といっても、ナパ バレーの場合はせいぜい 2,500フィート(750メートル)です。

山地には大きく2つあって、一つには太古の時代に火山活動していた地殻が活動期を終えて、その溶岩が固まった岩が主体となった山です。もう一つが主に海底で土壌が堆積し、その海底地域が地殻変動によって地上に隆起して山となったもの。地球がまだまだ熱くて活性化していた時代、250万年年くらい前のことです。それがぶどうの生育には最適な環境の一つになったのは、ナパ バレー AVAの地理的な条件があり、またマウント ヴィーダー AVAの火山性地殻に基づいた土壌によるもの、それからその標高による条件であるのでしょう。

山の斜面では水は流れ落ちてしまうので基本的に水分の少ない土壌に覆われています。そういうところで水分を得るために、ぶどうの木は根を深くする。深く根ざしたぶどうの木は地中の深い階層からさまざまな成分を吸収していきます。それから(詳細は書きませんが)ナパ バレーに特有の霧です。この表題の上の写真を今一度ご覧ください。これがマウント ヴィーダー AVAなのですが、霧が下界に出ています。この霧はおおよそ 500メートル以上には上昇しないのです。朝陽がナパ バレーの山地に注ぎ始める頃、平地区域は霧に覆われていて太陽の熱は届きません。むしろ霧が腫れ上がるまでは冷涼ですらあります。

ナパ バレーには 750メートル程度を頂上とするサブ AVAは3つありますが、その中の一つがマウント ヴィーダー AVAです。山地の栽培地で作られるぶどう、そしてそのワイン。僕は改めて注目しています。誕生日おめでとう。乾杯。

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