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素人のワイン造り(6)

さて前回の最後に書いた亜硫酸塩サルファイトですが、自然界に存在するものではあっても、実際のワイン醸造に当たっては、やっぱり添加します。ごくさりげなく、当たり前のように。

去年の9月、やっぱり同じぶどう畑で収穫をやったのですが、この時はバケツに4杯のぶどうを収穫して大満足したものでした。そして、ぶどうが一杯に入った大きなバケツ(アメリカ サイズですからね、19リットルです。日本では「大型バケツ」というのが10リットル)に、取り敢えずワイン醸造の僕の師匠である David氏は、このバケツに白い小さな錠剤を1つずつポイッと投げ入れたものでした。これがサルファイトだったのですね。David氏は『ワイン造り(3)』に登場しましたが、この7エーカーのぶどう畑のオーナーです。自分ではワインを飲まない、だけどワインを作っている、こういう人もいるのですよ。その彼がポイッと白い錠剤をバケツに投げ入れて「これはぶどうが酸化しないように」と言うので、素人の僕は(なるほど、そういうものか)と、すぐに納得してしまいます。その彼が今年は同じバケツにパラパラッと5錠投げ入れた。(あれ?)と僕は思ったのですが、僕はホラ、素人ですから(そうか、そんなものか)と思って、質問もせず納得したのでした。が、どうもこれが良くなかったんじゃないか。と考えたのは後になってからでした。

バケツの中のぶどうは、すでに除梗しています。つまりぶどうの実は小枝(これを果梗かこうと言いますが)から取って粒つぶの状態になっているわけですが、ウチに持ち帰って最初の仕事は、これをつぶすことです。完全につぶす必要はなくて、ぶどうの皮が破れるくらいで大丈夫です。しかも最初からバケツに入っているので、ぶどうの上から押しつぶす。ぶどうの収穫祭などで、大きな樽の中に入れたぶどうを足で踏みつぶして楽しそうにはしゃいでいる写真を見たりしますね、あれです。ただし僕は、足で踏むのではなくて手や調理道具を使いました。楽なものです。ところが去年は、ぶどうの房の状態で持ち帰ったので、まず除梗じょこうをしましたが、これが大変。ぶどうの粒を指で外していくのですが、僕のぶどうの木はピノ ノワール品種、このぶどうの房は比較的小さいのです。片手の手のひらに乗っかるくらい、それで実がびっしりと窮屈そうに固まっています。それを丁寧に外していくわけです。そこまで丁寧にやる必要もないのでしょうが、そこが素人の丁寧さですね、真夜中過ぎまで、ひたすら除梗作業にいそしんだのでした。この除梗作業も今はもう機械化されています。(つづく)

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