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San Luis Obispo Coast AVA

フランスのワイン産地には格付けがあって、Appelation d`Origine Controllee (AOC) だということは比較的知られていますが、アメリカにも同じような格付けがあります。これを American Viticultural Areas(AVA)と言いますが、その中でも最も知られたものがナパ バレー AVAですね。2021年 11月現在 260もの AVAがあって、それぞれが地理的、地質的、気候的に特徴をもったワイン用ぶどうの栽培地としてアメリカ連邦政府が登録しているのです。こうして品質の管理を行なっているわけですが、この制度が確立したのは 1980年、その初めての AVAはナパ バレー、だと思うでしょうが、そうではなくてナパ バレーは2番目でした。(1番目はミズリー州のオーガスタ AVAです。)そしてカリフォルニアには全米 260の AVAのうち 142が散在しています。

そして本日 2022年3月9日に新しい AVAが登録されました。つまりこれが全米で261番目の Sanサン Luisルイス Obispoオビスポ Coastコースト AVAです。ここはサンフランシスコから車で3時間半ほど南へ走ったところにある地域なのですが、かねてからワイン産地として注目していたところなので、今日のニュースは嬉しいですね。新たに登録されたこの AVAは南北に 100 kmほどで東西 20 km以下の細長い地区で、太平洋岸に沿ってなだらかな山地が続いています。想像してください、太平洋の海岸は北からの海流が大陸に沿って流れています。(北というと具体的にはアラスカ、その寒流が南下してくるのですが、サンフランシスコではまだ冷たくて、とても海岸で泳ぐことはできないほどです。カリフォルニアのイメージはきっと南カリフォルニア限定のイメージでしょうね。)

SLOコースト AVAでは、まだ寒流の影響で冷たい風が絶え間なく山肌を吹き渡っている様子を想像してもらうといいと思います。午前中は曇り空で陰気な雰囲気ですが、これは実は曇り空というよりは霧なんですね。海から陸地に向かって迫ってきたものです。そのずっと上空には太陽があって、強い陽光を降り注いでいます。その陽光が霧の厚い層を徐々に温めていくので、霧は文字通り雲散霧消していきます。その後はカリフォルニアの青い空です。それまで陰気に冷たかった土壌が暖められていくのです。この夜と昼の気温差、これがぶどうの結実にとってはたいせつなのです。これはほかの果実でも同じだろうと思いますが、酸味を保ちながら一方では熟していって糖度が高くなる、これがワインの要諦になるわけです。そのための条件を満たす土地としてのサン ルイス オビスポ コーストAVA、写真を添付しておきます。1枚目が2月、2枚目が5月、3枚目が8月です、それぞれの季節の風が届きますように。

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