授業録【メディア(1)】

メディア(media)とは、情報の記録、伝達、保管などに用いられる物や装置のことである。媒体(ばいたい)などと訳されることもある。記録・保管のための媒体とコミュニケーションのための媒体とに大別することができるが、両者には重なりがある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一般にマスメディアや記録・伝達媒体を指すことが多い
高校普通教科「情報」にて私が生徒に伝えているの以下の4つ

■表現メディア

文字,画像,音声,動画など

■情報メディア

テレビ,ラジオ,インターネット,新聞,雑誌,書籍など

■伝達・記録メディア

この二つは伝達メディアとしてまとめられることもある
伝達メディア:空気,メタルケーブル,光ケーブル,電波など
記録メディア:紙,磁気テープ,CD,DVD,BDなど

我々の実生活上関係が特に深いのは表現メディアと情報メディアであろう

それぞれの特性として表現メディアでは

文字:厳密に表現できるがそれと共に正確さが要求される
   感情が伝わりにくいので冷たい印象を与える時がある
   感覚的な情報を伝えにくい(たとえば視力がない人に色を教えるとか)
画像:強い印象を与えられる
   感覚的な情報を伝えるのが得意
   厳密な表現は不得意
   一度にに伝えられる情報量が多い
音声:どちらの方向を向いていても受け取れる
   何かをしながらでも受け取れる
   すべて受け取るまで一定の時間は必要
動画:変化する情報を伝えるのに向いている
   情報量が一番多い
   強い印象は残せるが,細部まで伝えるのは苦手

というようなことが考えられる
なので間違い無く相手に伝えたいのであれば文字が一番
仕事においては文書主義であることは合理的である

プレゼンなどでスライドが有効なのは画像の性質からである
したがって,一部をのぞき文字だらけのスライドは画像の特性を無視したものと言える

ただし,画像がわかりやすいからといってスライドばかりに頼っていてはいけない
プレゼンの基本は「しゃべり」である
人の声は感情をこめることが可能である
いわゆるノンバーバルコミュニケーション
同じ言葉でも言い方一つでまったく違う情報(感情)が伝わる

全体的な流れを知るには動画が一番である
ただし細かい部分までの説明は不得意であるし,一覧性や比較することも得意ではない

なお視覚情報と文字情報,人が受けとる割合が8:2や9:1であるという話があるが,根拠が確認できない

『産業教育機器システム便覧』(教育機器編集委員会編 日科技連出版社 1972)P4に「図1.2 五感による知覚の割合」が掲載。
上から「味覚1.0%、触覚 1.5%、臭覚 3.5%、聴覚 11.0%、視覚 83.0%」と図示。
『屋内照明のガイド』(照明学会編 電気書院 1980)
P9に「表1-1 人間の5感の情報能力」が掲載。表中に、感覚の種類とそれぞれの情報能力の割合が図示されており、 上から「視覚(目)87.0%、聴覚(耳)7.0%、嗅覚(鼻)3.5%、触覚(皮膚)1.5%、味覚(舌)1.0%」と表記。

このあたりが根拠らしいが,これらの文献の根拠が確認できない
(筑波技術大学テクノレポート Vol.25 (1) Dec. 2017 「視覚は人間の情報入力の80%」説の来し方と行方 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 加藤 宏)


またメラビアンの法則というのがあるが,これもまた間違って受けとられていることがある

この研究は好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションについてを扱う実験である。感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。この割合から「7-38-55のルール」とも言われる。「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」ともいわれている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

決して人は見た目で決まる,という意味ではなく,視覚情報に引きずられやすいという意味だ
なので視覚情報ばかりに気をとられるのは思わぬ落とし穴にはまってしまう

直感的に捉えるのは視覚情報かもしれないが,理論的に考えるためには音声や文字情報が不可欠
ただ,その音声や文字情報も視覚的になって,ミスリードを誘うようなものが散見され,さらに脊髄反射的行動に出るケースもある

情報を伝える場合は,それぞれのメディアの性質をふまえ,適切な使い方を考えなければならない
たとえば文字だけで伝えなければいけないとき,相手に誤解されないような表現や,カジュアルな関係であれば顔文字・絵文字の利用も有効である
また,マルチメディアな通信手段も多いので他のメディアと複合して使う工夫も有りだろう
重要なのは自分が発信した内容を相手がちゃんと受けとってくれるような工夫だと思う

道具は使うもの,使われないように気をつけて


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