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高校受験で失敗したら人生が終わりだと駅のホームで子供に話していたお母さんへ

キョンコロ先生は車の免許を持っていませんので、どこかに行くには必ず電車。

というわけで毎日の通勤で最寄り駅のホームで電車を待っていた時のことでした。

「ね、中学受験やろうよ」

「えー????」

という声が聞こえてきました。

小学生のお子さんを連れたお母さんが一生懸命中学受験を勧めていました。

お母さんは必死でお子さんに中学受験のことについて力説しています。

「だってさ、高校受験に失敗したらあとがないんだよ、でもさ、中学受験は失敗していいんだよ、そうしたら公立の中学に行けばいいんだもん、ね、中学受験やろうよ、もっと小さい頃に受験してる子もいるんだよ、〇〇ちゃんは幼稚園のときに受験したよ!」

「え!そうなの??」

「だからちょっと違う小学校にいってるでしょ?」

「うん」

「あなたは小学生のときに受験勉強してそれで中学受験しようよ!ね?」

「うーん・・・・」

このあたりで電車が来てキョンコロ先生はそこで話が聞こえなくなってしまいましたが、それにしても失敗してもいいのが中学受験で、高校受験は失敗できないというのはおかしな話です。


何のために受験するのでしょうか?

それを考えられるようにお子さんを導いてほしいです。人生を失敗しないためのツールとして受験勉強があるというのは全く間違った話です。

例えば専門職になりたいのであれば公立の学校に通って専門のスキルを身に付ける勉強をした方がいいかもしれませんし、学者になりたいのであれば受験勉強程度の知識ではなにもなりません。受験勉強と並行して自分の好きな勉強ができるような余力が必要です。

ここ20年で受験勉強に関してなにか勘違いを激しくしている方が多くなっているように思います。

まず受験勉強以外の勉強は「効率が悪いから」しなくていいという考えが加速しています。

キョンコロ先生は国語の先生なので国語のお話をすると、少し前の時代設定の文章が全く読めなくなっているということです。

例えば「必要だから」という理由で第二次世界大戦の周辺の文学やアニメーションを見せている親御さんは多いのですが、例えば30年前くらいの大人の人が書いたものなどがものすごくにがてです。

当時の人が書いたものは「戦前、戦中、戦後」という三つの時代を通して人々の考え方や生き方が大きく変化したし、日本という国のシステムも変わっています。その時代を生きてその時代を感じて書いたものを文字を読んで頭の中に世界を作るためには「意味調べ程度」の知識では意味がありません。

そうするとその時代の話をすこし説明するわけですがそうすると「受験勉強」という型どおりの勉強をする時間は少なくなります。

そうするとお子さんから「勉強はしなくていいのですか?」という質問が来ることがあります。

要は「理解をせずに魔法みたいに問題を解く方法を教えてほしい」というわけですが、そんな方法はありません。

様々な時代の知識、様々な時代の表現(流行も含めて)を知ってそのうえで解くのが受験勉強というものだと思っています。

学校の入試問題を見ると「世代を超えたコミュニケーション」ができる子供を取りたいと思っている学校が多いように思います。

それなのに小さな知識で、書いたものに大して興味も持てない状態で戦いを挑んだらどうなりますか?

推して知るべしです。

さらにもう一つ問題があります。

お子さんが何をしたいのかをよく確認せず、大人の都合で様々なことをお子さんにさせると「自分で自分を認められない子供」に育ちます。

例えば学校の名前だけで学校を選ぶようになると「合格がゴール」になってしまいます。その後どう生きていくのですか?

先ほどのお母さんの発言では「入試がゴール」であるという事が伝わってしまいます。

受かってからその学校の看板をずっと背負って行くのですか?

学校の名前がなければなにもできない子にしていいのですか?

もちろんそんなのはダメです。

「自分の好きなことをどうしてやりたいのか?」

「自分はこのやりたいことをやって、何ができるようになるのか?」

「人の幸せとは何か?」

「自分と他人の幸せの共通点は何か?」

「みんなが幸せになるにはどうしたいいか?」

「自分で考えてアクションするためにはどんな情報が必要か?」

それを考えるだけでも人間は賢く立派になります。

受験勉強のような知識が本当に必要であれば学ぶ必要がありますが、自分がどのように生きて、どのように世界とアクセスするのかを考えさせてから受験を検討するべきです。

そして、そのためにはお子さんがなりたいものやお子さんが考えていることについて情報をきちんと提供する事が親御さんのできることです。

どうぞ、中学受験が人生を豊かにする手段として有効に活用されますように。

受験勉強は人生の選択肢の一つであることを必ずお子さんに示して、お子さんの選択をきちんと受け入れてください。

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