共有結合分子の構造を知るためには
こんにちは、Juke-99です。
今回は共有結合で作られた分子の構造について書いていきたいと思います。
結合距離
共有結合間の化合物の構造を知るためには結合距離について知る必要があります。結合距離は分子内の2つの間の原子の平均距離です。
結合距離にはいくつか特徴があります。
1. 結合距離は周期表の下の行に行くほど大きくなります。これは周期表が下に行くほど、原子が大きくなるので結合している原子からの距離も長くなります。
2. 結合次数と呼ばれるものがあり、結合次数が大きくなると結合距離は小さくなります。まず、結合次数とは原子間で共有される共有結合の数です。例えば、単結合は結合次数1で二重結合の結合次数は2です。このことから、二重結合は単結合と比べて結合距離は小さいです。
3. 結合次数が同じ結合で原子番号が大きくなる(周期表で右に行くほど)と結合距離は短くなります。
原子価殻電子対反発理論(VSEPR理論)
分子の形を決めるものに結合角があります。例えば、水(H2O)やメタン(CH4)はどういった形なのかは結合角で決まり、大体の予測をするために原子価殻電子対反発理論(VSEPR理論)を使います。
VSEPR理論の考え方は、結合や非共有電子対はそれらが互いになるべく離れるように中心電子の周りに配置されるという考え方です。何言っているのかわからないと思います。自分も何を言ってるのかわかりません。ただわかることは結合と非共有電子対が重要なのだなと感じると思います。
調べてみるとVSEPR理論では電子対がキモとなります。実際には非共有電子対と共有電子対を合わせた電子対がいくらあるかです。そしてもう一つがお互いの結合間での反発が最小になるような配置をとるようになっていて、電子対の数によって分子の形が決まるようになっています。ここで、電子対の数と分子の形の関係は、電子対が4つの時は四面体、3つの時は平面三角形、2つの時は直線の形をとります。
例として、電子対が4つ、3つ、2つの時の例を見てみましょう。
電子対が4つ(メタン:CH4、アンモニア:NH3)の場合
メタンは炭素(C)と水素(H)でできており、炭素の価電子は4つ(オレンジ色の丸い玉)で水素の価電子は1つ(水色の丸い玉)なので上の図のようになります。図のようにC-Hの共有電子対が4つ。つまり、電子対が4つあるので四面体の形をとります。メタンは共有電子対のみで構成されていましたが、非共有電子対を含んだアンモニウムはどうでしょうか?下のアンモニアの図を見てみましょう。
アンモニアは窒素(N)と水素(H)でできており、窒素の価電子は5つ(紫色の丸い玉)で水素の価電子は1つ(水色の丸い玉)です。図のようにN-Hの共有電子対は3つと非共有電子対が1つ持ちます。共有電子対と非共有電子対合わせた電子対の数は4つになるので四面体の形を持ちます(この構造は実際には三角錐構造と呼ばれていますが、ここではあまり詳しく述べません)。
VSEPR理論で非共有電子対は共有電子対よりも大きな空間を占めると仮定します。つまり非共有電子対と共有電子対との間は共有電子対と共有電子対との間と比べて結合角が大きくなります。メタンでは共有電子対しかないので、すべて結合間の角度はすべて等しかったのですが、アンモニウムでは非共有電子対があるので、結合角(共有電子対と共有電子対との間の角度)はメタンと比べて小さくなります。
電子対が3つ(ホルムアルデヒド:H2CO)の場合
ホルムアルデヒドは以下のような構造になっています。
ホルムアルデヒドは炭素(C)と水素(H)と酸素(O)でできています。炭素の価電子は4つ(オレンジ色の丸い玉)、水素の価電子は1つ(水色の丸い玉)、酸素の価電子は6つ(黄色の丸い玉)です。Cを中心原子として考えて、C-H間の共有電子対が2つ、C-O間の共有電子対が1つで電子対は3つです。図を見ると、C-O間の価電子が2組できているので電子対は合計で4つなんじゃないか?と思われるかもしれませんが、VSEPR理論では、二重結合や三重結合はいずれも1つの原子と結合しているので、1つの共有電子対としてみなします。
電子対が3つだと平面三角形の形をするので、上の図のような形になります。補足ですが、酸素を中心原子として考えたときはC-O間の共有電子対が1つ、非共有電子対が2つとなり、これも電子対が3つになり、平面三角形の形をします。ただし、非共有電子対を含んでいるので、非共有電子対との間の角度はC-O間の共有電子対と非共有電子対の角度より大きくなります。つまり、炭素を中心原子としたときの結合角とは異なっています。
電子対が2つ(アセチレン:C2H2)の場合
アセチレンの構造は炭素(C)と水素(H)でできており、炭素の価電子は4つ(オレンジ色の丸い玉)で水素の価電子は1つ(水色の丸い玉)でメタンの時と同じですね。簡単に違う部分なのが電子対の数です。炭素を中心原子(右の炭素でもよいし左の炭素でもよい)としたとき、C-H間の共有電子対は1つ、C-C間の共有電子対は1つ(三重結合なので1つの電子対)です。合計で2つの電子対で直線の形になります。
長々と例を挙げましたが、上のVSEPR理論を少し簡単に説明すると、共有電子対(結合している)や非共有電子対の電子対がお互いに最小の距離をとってそれらが中心にある原子の周りに配置されると言えますね。
それともう一つ、例を見て電子対の組み合わせによって角度の度合いが異なることに気が付いたかもしれませんが、VSEPR理論では非共有電子対は共有電子対と比べて大きな空間を占めると書きました。このことから結合角の大きさは、非共有電子対-非共有電子対 > 非共有電子対-共有電子対 > 共有電子対-共有電子対の順の組み合わせで大きくなります。
おわり
実はもっと複雑な分子の形をしているものがあり、結合距離と結合角だけでは特定できないものがあります。そういった複雑な分子の形を特定するには二面角というものを使って特定することができますが、それは違う機会で書きたいと思います。