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シンプルなカメラ

昨日、前日にオープンしたばかりのライカ松坂屋名古屋店でLeica Tに触らせてもらってきました。
現物があったのはズーム付きのシルバーのみでした。
それを短い時間ですが使ってみた印象を書いてみます。

気に入ったところ

・質感が良い
 アルミ削り出しの質感はおもしろいです。
 Mシリーズとはまったく違う印象でCONTAXのTVSとかMINOLTAのTC1を思い出しました。SIGMAのdp QUATTROと通じるところがありますね。

・グリップの形状が手に馴染みとても持ちやすい
  尖ったデザインからもっと違和感があるかと思っていましたが、想像していたよりも手にして馴染む感じでした。

・グリップを除く部分が薄い
 デジタルのMがデブになったから余計そう思いました。

・見た目よりも軽い
 アルミ材質のフレームのお陰ですね。持ち運ぶには非常にありがたいです。しかしこれ落としても強いのかな?

・背面モニターは見やすい
  しかし実際には日中屋外でどれくらい見やすいかわかりません。

・オート、絞り優先、SS優先、マニュアル間のモードの切り替えが簡単

・AFの速度は自分の許容範囲内

・AFポイントを背面モニターをタッチして選択できる
 EVFにAFポイントが表示されれば嬉しいですが無理でしょうね。

・シャッター音が小さく気持ちいい
 デジタルミラーレスなので何とでもなるものでしょうけれどw。

気に入らなかったところ

・電源を入れてから起動後撮影できる状態まで約2秒かかる

・レンズを付けるとバッグに収納しにくそう
 コンデジとはまったく違う形状ですから。しかし例えば手持ちレンズでいうとLeitz Elmar 3.5cm f3.5とか沈胴式Summitar 5cm f/2を付ければかなりコンパクトに持ち運べそうです。

・各モード時、ふたつのダイヤルの設定は固定
 メニューをじっくり見ていないので、もしかするとメニューの深いところで変えられるかも知れません。

・背面モニタが可動式ではない
 可動式EVFを使えということでしょうが、背面モニターを水平に二眼レフのようにして、AFポイントのタッチ式選択で使えるとおもしろかったかなと。

・タッチパネルの反応が遅い

・DNG(RAW)のみ記録できる設定はない

疑問点

・6bitコードのないレンズを付けた場合、なにかデメリットはあるのか?

・高感度ノイズはどうか

・ダイナミックレンジ、白飛び、黒潰れはどうなのか?

・軽いということは手ブレしやすくないか?

Leica Tという選択肢

これまで、フルサイズでライカMマウントレンズを使いたい、とこだわってカメラを選んできました。

またLecia Tの印象は

・デザインが微妙
・NEXの二番煎じ的
・機能的に目新しくない

とよくありませんでしたw
しかし最近、Ken Rockwell氏のSimplicity和訳)を読んでから、このカメラに対する見方が180度変わってしまいました。
実はそんな新しい機材への欲求自体、氏の主張に反するんですがw

=====SIMPLICITYからの引用=====

"適切な設定でシャッターを切ることに集中力を奪われてしまい、被写体を見るパワーは残されていないのである。"

"もしも良い被写体を見つける努力を怠るようでは、どんなに素晴らしい設定でシャッターを切っても、すべては無駄なのである。
(中略)
あなたは写真を撮るときに、カメラのことを考えている。レンズのことを考えている。設定値のことを考えている。それとも、レンズの向こうにある出来事、物事のことを考えているだろうか?
私もまたそうした一人であった。機材選定、設定値変更に忙しすぎて、いったいなにを撮っているのかを考える暇など全くなかった。
唯一必要なのはレンズの向こうの被写体であるのに、すべての注意はカメラ、レンズ、設定値に埋め尽くされていたのだ。
シンプルさが決定的に大事なのは、このためである。"

"かつて、デッカい3つのリングしかカメラには設定項目がなかった。シャッター、絞り、フォーカスである。1970年代から、これらのリングをどちらに回せば良いか指示してくれるようになった。そして1980年代からこれらは自動化した。完了である。これであとは写真を撮るだけのはずだった。
では今日なぜ、すべてが自動化されたカメラにおいて、1,645もの設定メニュー、カスタムファンクションが必要なのだろうか? たった3つの設定で写真は撮れるはずなのに?
3つの項目を自動化したあとで、なぜそれらを1,645のマニュアルメニュー項目に細分化して、また1から設定しなければいけなくなったのだろうか?
(中略)
ライカの取扱説明書にはこう書いてある。この説明書をよく読み、学習し、目を瞑ったままでもすべての操作をできるようにしてください、と。これは1952年、LEICA IIIfの説明書の記載だ。それから40年間で、カメラは簡単になったはずではなかったのか?
(中略)
カメラは、その存在を忘れるほどにシンプルでなければならない。ただ被写体を見つめること、決定的な瞬間を撮ること。"

"あなたがカメラのことを考えているとき、あなたは写真のことを考えていない。
あなたが写真のことを考えていないとき、写真は最低の出来になる。
シンプルなカメラはあなたにカメラのことでなく、写真のことを考えさせる。
カメラがあなたに奉仕すべきである。あなたがカメラの奴隷、写畜になってはいけない。
カメラはあなたの感性の外側にあり、撮ろうとする写真とは無関係でなければならない。あなたの想像するイメージは被写体から沸いて出てこなくてはならない。そのイメージにカメラが影響を及ぼすようならば、それはやめなければいけない。
あなたの撮影からカメラを遠ざけるには、シンプルなカメラを使うしかない。"

=====引用終わり=====

Leica Tの本質は、45分間手磨きされたアルミ削り出しのユニボディではなく、以下の点だと思っています。

タッチパネル液晶モニターと、4つの基本的な操作部。ライカ Tの操作に必要なのはそれだけです。設計にあたっては、絶対に欠かせない要素しか残らなくなるまで、徹底して無駄をそぎ落としました。そして生まれたのが、必要なものはすべて備わって、不要なものは何ひとつないカメラです。操作に迷うことなく、創造力を自由に発揮しながら撮影を満喫できます。
ライカTシステムサイトより

ライカらしくないと冷めた目で見ていたLeica Tは、確固たるポリシーに基づいて作られたとてもライカらしいカメラだったのだと見直しています。
というわけでLeica M以上にシンプルなこのカメラが欲しくなっちゃいました。
宣伝にうまく載せられていますかw

NEXには興味が持てず、ストリートスナップを撮る上でLeica Tより優れているかも知れないFUJIFILM X-E2には落ちそうになった私ですが、今は何よりLeica Tを使ってみたいと思ってます。

(2014年4月28日 書き直しました)


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