【小説】【リバーサイドストーリー6】

令和時代の作曲家やソロ、SSWの楽曲。そのクオリティーの水準値は間違いなく上がっている。まるで天上の賛美のように、美しい音楽。

数億の天使がラッパを吹き、天と地は一つになる

アイドルというアーティストの、YOASOBIという楽曲が、抜群に素晴らしい!

高校生のころ、先生が前に立ってこう言った。

【10月はピンクリボンキャンペーンだね。みんなは乳がんに対して、まだ関心がないだろうね。とくに男子。ではこう考えてください。将来君たちもきっと良いパートナーと出会います。お付き合いしたそのお相手が、乳がんになった。と、したら。君はどうする?】

【レッドリボン軍じゃないんすかー?】

【仕事を休んでケアをするー】

【やさしい言葉をかける】

【えー?一緒になって泣くかもなー】

そしてぼくは

【乳がんってことは、かた乳切り落とすんだろ。そしておっぱい揉んだり舐めたりして、気持ち良く出来なくなっちゃう。困ったな。そしたら世界一、努力して手マン上手くなって、彼女をおっぱい舐めてたときより、気持ち良くしてあげよう】

って内心考えていたが

【一緒に、海のきれいな街をお散歩します】

と綺麗事を口から出まかせを言ってしまった。人の気持ちになれない。

【本音を伝えなきゃ、伝わんない】

ぼくはぼくを抜け出して一度でいいからぼくを眺めてみたい、そしたら風のようにあなたの気持ちが少しはわかるかしら。

【僕は自分が気持ちよくなりたいだけなのか】

同級生の山村から、ぼくの住むボロ屋に贈り物。ポストをあけるととなりに住んでるデクの棒男、堤というおっさんが一言。

【わっわっ!珍しく贈り物やね。小さいね!あっレターパックいうやっちゃ。手紙かいな。手紙入ってんかや?】

堤は、関心するほど、どうでも良い、かつ神がかりなタイミングで僕の前に現れて、冷やかす。

【あら半自動式の洗濯機が、あるがや。おめえ、見た目によらず、貧乏なんやな?】

【半手動式の洗濯機。ぐるりん丸や】

レターパックを開けてみた。すると中には、【ONE HOPE】と刺繍された帽子が入っていた。誕生日でもないのに、赤い帽子が送られてきた。電話相手は堤ではない。堤ではないのに、堤は後ろからこちらをにゅっと見つめている。

【なんか帽子おくられてきたけど】

【えっ、欲しい言うてたやん!引越し祝いやで】

【なんでやねん、引越ししたの去年や】

電話の向こうではクスクス笑い声が聞こえる。自然とお偉方な喋り方になってしまった。

(だれとも喋らんかったら、ブスっとなる)

【ガッチャン】

ぼくの電話での塩対応は、自他ともに認める事だ

それで思い出した。風流もなく、味わいもない。けれど、なんとなく落ち着く町。加古川。

(どこに行っても、お前だれ?状態だが)

あぁあ、今年も除夜の鐘を一人で聴くのか。でもわるくない。しんしんと澄んだ空気のなか、一年を振り返る。つらかったことに喜びが打ち勝っていく。想像の力は、悲しみを踊りに変える。

(ガンガンガンガーン、ベートーヴェンもビックリだわ)

ああ、考えすぎると辛くなる。甥っ子に年賀状を書こう。お年玉も少しばかりやろう。

親族の集まり、息絶えて、一人振り込む哀しき「お年玉」

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