児童書「みにくいアヒルの子」が捨てられない。
ろくに平仮名も読めない歳に、初めて買ってもらった絵本は、重くてB4サイズのフルカラー
「みにくいアヒルの子」でした。
ケース入りで、小さな手では出し入れさえ難しいほど重かったのを覚えています。
とても気に入っていて、厚紙で作られたそれさえキズをつけたくなくて、床にソッと置いて出し入れしていました。
どのページにも丁寧に絵が描いてあって、1羽だけ色が違う子が。次第に仲間ハズレにされちゃう色の違う子…
なんにも悪いことしてないのに…。
当時から感情移入し過ぎる傾向があったため、可哀想すぎて途中から泣くことも度々…今も泣きそう…。
当時は絵を見ては泣き、お話を読んでもらっては泣き、次第に絵本が開くのさえ辛くなる始末でした。
でも気になって気になって読むと、また涙が…
今、コレを読まれている方はどちらでしょう。
ハハハと一笑に伏すか、ウルッとするか…。
ご存知の通りあの色の違う子は実は白鳥のヒナで、
大きくなったら羽ばたいて、みんなの元を巣立ってゆくというハッピーエンドです。
お話しなんだ、大丈夫なんだとわかっていても、可哀想なシーンになると、ヨシヨシと色の違う子の絵を撫でていました。
なんでこんな事を急に思い出すんでしょうね、不思議なものです。
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時が経ち、気がつけば、クチバシとしっぽをこよなく愛する人格が出来上がりました。
花鳥園と名のつく所には、飛行機で飛んで行くほど大好きです。クロツラヘラサギにカプカプ噛まれた時には、思わず昇天しそうになりました。なんと優しいハムハムかと…ずっと挟まれていたい……
ほんのりあたたかい…ハムハム…ハムハム…
白鳥が運河に勝手に住んでる国にいた時は、食パンの耳を食べやすいサイズにカットして、大量に撒きに行きました。
鳥には表情が無いという人がいますが、それは少し違うかもしれません。彼らはものすごく考えているし、感情はあるし、人間を知っています。
雨が続いて寒くて風が強くて、ちょっと大変な天気の続いた日。
ベランダのガラス窓を外から誰かがノックしました。ここは6階。外から泥棒か?とドキドキしていたら、なんとカササギ君。いつもベランダに来ていた子です。
私を見ながらノックしてました。
「餌を下さい。天気が悪くてお腹すいてます…」
心なしか、しょんぼり顔でした。
連れ合いも、少し離れた木にとまって見ています。
私を頼ってきたようでした。
ノックしてきたのは、悪天候が続いたこの時だけでした。その後も遊びには来るけれど、顔だけ見て帰って行きます。なんて賢いカササギ君。長くて艶々なカッコいいしっぽ(尾羽)をしてました。
もうその国に住むことはないけれど、元気かな。
やっぱりクチバシとしっぽ好きはやめられない。