美術の授業は、専門の先生でお願いしたい件

中学の時の話。
途中までは美術専門の先生で、いかにも『芸術』と言う言葉がぴったりの男性教師だった。
ベレー帽が似合いそうな中年期のレンブラント風だった。
しかし突然、他教科の教師が掛け持ちで教えることになった。

例えば、前の時間まで現国の教鞭をとっていたのに
次の授業は美術を…というようなことだ。

違和感もさることながら、全く楽しくなかったし、
一番嫌だなぁと思ったのは、以前は褒められてた事が、ダメだと言われてしまう事だった。

今の時期なら「春」 外で絵を描いたとする。
以前なら、木や花を描きつつ周りの空気感を描き足して雰囲気を出すと、『良い』とされたものが、
今度は余計な周りは要らないから『減点』という。

描きたいように描かせてもらっていたプラス、うまく表現するにはどうすれば良いのかを教わっていたのに、いきなり描くべきものだけを描き、見栄えを良くせよと指示されてしまうのだ。

混乱するし、承服しかねるものがあった。
お気に召さない作品には、点が厳しかった。
高校入試を考えると、成績を下げるわけにもいかず、向こうの好みに合わせるしかない。テストで良い点を取っても提出物でも稼がなければまずいからな。
で、絵が更に嫌いになった。

実は、小学生の頃に個人の方が開いておられた
絵画教室に通っていた事がある。
自分は、幼少期からどちらかというとアンニュイな感じの色使いが好きだった。
『しっかりハッキリ!ウッキウキ♡』とかいう表現は、丁寧にお断りしている感じだ。
だがこの絵画教室の先生は、
『しっかりハッキリ!ウッキウキ♡』タイプだった。

しょっぱなからダメ出しの雨あられ。
何ひとつ褒めない。しまいには、自分の声が小さいのがいけないと言い出した。
関係ないだろ。うるさい子どもは絵が上手くなるんだろうか?

素焼き粘土で動物を作ることになった。
うさぎを作った。
うさぎの脚が細すぎると言って、ゾウの様な
脚につけ替えられてしまった。

ご満悦だ。

自分は見切りをつけた。
コレは教えてるんじゃない、
押し付けてるんだ。
自分に合うタイプだけを可愛がりたいタイプの大人だと。
早々に辞する言葉を申し上げ、その場を去った。
小学2年の春だった。


今、落書きをすることは好きである。
しかし、忘れることはできない。
あのゾウの様な脚につけ替えられたうさぎの事、
アンニュイな色使いを
『子どもらしくない』と全否定されたこと。

ですので
美術は専門の先生でお願いしたい。

長文お読みくださり、
ありがとうございました。