連作短歌「関係供養」
複数形一人称で呼ばれないままの僕ら接近を悼む
ありがとう支えてくれてと言いあって僕ら影だけでわらっています
この通話切ればなくなってしまうもの あなたはいつも死のにおいがする
肉体の重みなき「死」を前にしてわがことばだけ空虚に強くて
ふれあえぬふたりのあいだにふわふわと毒にも薬にもならぬ愛が
死をかたるあなたの指を透かし見てすでに「僕ら」を悼んでいたり
死地を向くあなたひとりも止められず僕はついに何者でもなく
(誰がために死ねばいいかを考えろと説く僕のためにも生きてよ!!!!)
宛先のない手紙こそ祈りだ、とでも言うように「下書きに保存」
吹けば飛ぶようなふたりのあいだだが止めは刺さなくてもいいや、まだ
熱をもつ君に抱かれたうれしさかまだ少しぬくい一六式
「さようなら」じゃなく「またね」を使うのは祈りだという君が透けゆく
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