1万本ブロガーをブックマークした

 他人にはどうでもいいことかもしれませんが、僕はnoteとブログを使い分けていて、ようは「noteは気軽に書く」「ブログはガチる」ということなんですがあまり徹底できていないですね。気楽と言いつつnoteでもどうしても力が入ってしまう。
 ところが、アメーバブログで凄い人を見つけたんですよ。いや凄いといってもたまにいるのかも知れませんが、つまり「めちゃくちゃ更新頻度が高い」人ですね。どのくらい高いかというと、もう10年以上、毎月60本以上欠かさず更新している。ちょっと計算してみましたが少なくとも7200本以上書いてます。実際には1万本くらい行ってるでしょう。すごい! まじで!!!!!!(ちょっと過呼吸なった)

 で、その1万本氏のブログの内容なんですが……予想の通り薄いですね。どのくらい薄いかというと、平均して500~800字くらいで、内容はぱっと開いたやつだと…「マルボロの箱には都市伝説があって、逆さにして上半分を隠すと首を吊ってる黒人とそれを見上げている白人に見える」のだそうで、それ自体はまあどこかで拾ってきたネタなんだろうけどわりと面白い。
 で、それに対して「無理やりやな(笑)」「まさか差別とか言わないでしょうね(笑)」といった一言感想を添えて、終わり。あっさりしたもんです。

首を吊ってる黒人と見上げている白人に見える!?

 一万本氏の別の記事では、乱歩と横溝とどっちが好き? という新聞記事をネタにしていて、自分は乱歩だったら『孤島の鬼』が好き、横溝だったら『獄門島』か『悪魔の手毬唄』が好き。でも乱歩と横溝とどっちが好きかと言われると「乱歩でしょうね、変態だから(笑)」で、終わり。
 この記事も700字くらいで、700字というのはちょうどあなたがいま読んでいるこの文章が、ここまでのところで700字です。ちゃんちゃん(笑)

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 いや、ちゃんちゃん(笑)じゃねえよ。終われねえよ。
 で、正直中身はあってないような、老人の手習いみたいな(失礼!)文章だなと思いつつも、とにかくその量と、筆の淀みのなさには感服したわけです。
 最近、ツイートやらスペースで「白饅頭の書くものの内容には興味ないけどその健筆さは率直に羨望する」「アンチで彼の半分も書ける奴がいるのか?」とややリベラル勢を煽りつつわりと本音で言ったわけですが、やはり量は正義だという感覚はあります。
 誤解なきように言うと「質」はどうでもいいという話ではない。むしろまったく逆で、たくさん書くことで上達してゆく、もうちょっと丁寧に言えば書き続けることで自分のフォームが構築され、またそういうフォームがあるからこそ改良を加えることが可能になるという話です。

 先程のたまたま開いた記事に話を戻すと、たとえばマルボロの箱にまつわる都市伝説は、プロクター&ギャンブル社のロゴが悪魔崇拝を示しているといった「企業のシンボル深読み」系都市伝説に繋がりますよね(お札なんかでもフリーメーソンとかそういうのはありますが)。P&Gの噂についてはN.カプフェレの名著『うわさ』で紹介されているもので、おそらく漁ってゆくと、黒人がらみの似たような都市伝説も見つかるかも知れない。

 またオルポート&ポストマン『デマの心理学』に出てきた、イラスト(下図)について伝言ゲームをしているうちに白人が手に持っているカミソリがなぜか黒人の手に移ってしまう現象なども絡めて、都市伝説と人種差別というテーマで、他にも素材をいくつか集めたらそれなりの小論文に発展するかも知れません。

カミソリがいつの間にか黒人の手に渡る

 「乱歩か横溝か」という話にしても、はたして一概に乱歩好きのほうが変態と言えるのか、『孤島の鬼』は僕も読みましたが、あの死体描写はグリム童話「青髯」や「フィッチャーの鳥」的な、「たちまち彼女をバラバラにしてしまいました」みたいなあっさりした、子供の破壊衝動みたいな感じで、ひょっとしたら横溝の偏執狂的なトリックへのこだわりや、死体が出てくるときの見開きでババーン! みたいなセンセーショナリズムのほうがよほど変態的かも知れない、という話もしようと思えば出来るわけじゃないですか(横溝はあまり読んでないのでエアプ気味ですけど)。

「フィチャーの鳥」挿絵。
https://grimmreading.wordpress.com/2020/11/13/fitchers-bird/

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 とはいえやはり健筆は尊い。それでこのnoteもなんとなく書いているうちに現在1600字ほどになったんですが、なんだかコツを掴んだような気がしないでもないです。それは(少なくともnoteについては)「最初から気負わない」ことですね。
 書き出しは、ちょっくら風呂に入ってくるぜみたいなあくまで気楽な感じでゆく。そうして書いているうちに、ふと上記のマルボロ都市伝説のような、多少凝って追求したい話も出てくる。どうせ僕は上述の1万本ブロガー氏よりも凝り性なので、否が応でも掘り下げてしまうのでしょう(今日はそういう話をしたいわけじゃないので掘り下げませんが)。しかしその時にはすでに書き出しや勢いは掴んでいるのでヨシ! というわけです。

 そんなわけで、その健筆さにはマジでリスペクトを込めて、1万本ブロガー氏のブログをブックマークしました。書けなくて困ってる人は、こういう人のブログを読むと突破口が見つかるかも知れない。
 それにしても1万本ブロガー氏、実はこうしている間にも今朝だけで2本更新してます。化け物かこいつは。


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