金曜夜23時地下鉄のサウダージ
奇跡的に座れた椅子。
前にはおそらく飲み会帰りの女性の3人組。
お店からの続きの話なのか、はたまた全く別の話題なのかはわからないが、少し赤くなった顔で楽しそうに話してる。
僕はイヤホンで音楽(ポルノグラフィティのサウダージ)を聴いてるので何の話題かはわからないが、楽しそうなことだけは伝わってくる。
いい飲み会だったんだろうな。少なくともこの瞬間は平和なんだな。
1人はTシャツにデニム、1人は茶色のセットアップ(上は半袖のシャツ、下はスカート)、1人は黒の少しドレッシーなノースリーブワンピース。
そして3人が吊り革を持つ。
それは僕にとって至極の時間。
ノースリーブワンピースの女性はもちろん、茶色のセットアップの女性も、ラフなTシャツにデニムの女性も脇が、いや腋が甘い。
袖の隙間の奥底に見える腋、ノースリーブで隠すこともなく曝け出す腋。
舐めたい。
舐めたい!!!
舐め…
…乗り換えなければ。くそっ。
今僕の胸にある凛とした痛みは、乗り換えで別れなければならなかった美女3人への想いか、それとも一瞬で消え去ってしまった、美女3人の腋をちらっと眺めるという至極の時への想いか、いずれにしても今はなきものへの恋焦がれる感傷、これがサウダージか。
許してね、恋心よ。
甘い夢は(人)波にさらわれたの。
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