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⑤業界人には「口にしにくい、その一言」。私が代わって口火を切ります。

『コスパ病』が初めて日本社会に提起した問題は、断片的、部分的には多くの地域や業界で、多くの方々に深刻な問題として受け止められてきた問題です。

「安くて品質も悪くない商品があらゆる業界に溢れた結果、値下げとコストダウンという、後ろ向きの経営努力を強要される」という、もどかしく先の見えない経営環境の中にあって、こうした低価格の輸入品がいつ、どのように発生し、海外でどのように企画、開発され、どのような手法と経路を経て日本市場に侵入し、あらゆる業界を覆い尽くしたのか・・・。

手前味噌ですが、『コスパ病』の業績の一つは、この流れの概要を「貿易マンとしての専門知識」を駆使して、歴史的背景と事実に基づいて明らかにし、現状の根本的な原因と問題の構図、そして解決の糸口を具体的かつ現実的に提示したことにあると感じています。

だからなのか、発刊以来、実に多くの業界の経営者、生産者の方々から、「よくぞ言ってくれた!」、「はっきりと書いてもらって、気分がスッキリして、久しぶりに希望が出てきた!」というご感想をいただきます。



しかし、その数秒後、「でもね・・・」という声が。

「この事実を同じ業界の人に言うと、厄介なんですよ
もちろん、うちの業界にも、残念ながら、自損型輸入業者がいます。
確信犯的にSPA企業の成功事例を真似して、自損型輸入に嬉々として取り組む企業もいますが、中には自社の存続のため、望まずして泣く泣く国内の取引先と縁を切って、中国やベトナムでの生産、製造に切り替えた企業もいます。

それに、同じ業界の中で自損型輸入の問題と弊害を指摘しても、負け惜しみや妬みのように取られかねないし、他社の目が気になって、なかなか言えないんですよね・・・」



こうした声を聞くたび、私は「なんとお人好しで、なんと日本的な発想だろうか」と驚き、ますます危機感を強めずにはいられません。

五・一五事件では、テロとしか言いようがない行為を働いた青年将校数名を甘やかした結果、陸軍内の過激派が安心して増長し、さらに衝撃的な二・二六事件を招きました。

バブル崩壊以降の日本経済では、アパレル業界や日本経済への寄与度が極めて低いにもかかわらず、企業単体としては驚異的な成長を遂げたユニクロを持て囃したばかりに、アパレル業界が全滅しました。

もっと深刻な事態が発生したのは、『コスパ病』の第3~5章で扱ったい草・畳表業界です。

私が各種の政府統計、大学論文、いくつかの議会の議事録を調査し、当時の状況を調べて感じるのは、「なぜ、業界衰退の初期段階で声を上げる人がいなかったのか」という疑問です。

だから私は、「第三者として、業界の心ある人が言ってほしいこと」を正々堂々と代弁し、本質的な問題解決への建設的な議論のきっかけを作る存在になろうと思って、講演、セミナー活動を行っています。

あなたが待望する「第一声」、私が代わりに発します。



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