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「彼らは世界にはなればなれに立っている」

大田愛さん『彼らは世界にはなればなれに立っている』(KADOKAWA)

第4回山中賞受賞作品。

架空の世界の物語でありながら、リアルな危機感を覚える作品。
差別、悪意、戦争。
物語だからと読み流すことができない問題たち。

この物語の主要な登場人物たちがとても魅力的で、その魅力故に待ち受ける出来事を「運命」だなんて言いたくない。
彼ら彼女らはきちんと考えて動いているから。

流れに身を委ねるだけの人たちほど厄介なのかもしれない。
考えることを放棄し、抗うことを放棄することは、全てを受け入れることと同じではないのか。
自分の人生に深く関わることを放棄するというのはどういうことなのだろう。
自分には関係ない、という考えから?
それはあまりに浅い考えではなかろうか。

誰かのために、そして自分のために。
変えられるものは変えたい。

しかし有力者からの圧力はかかる。
その有力者はなぜ力を持ったのか。
なぜ。
自分には関係ない、で済ませてきた人たちによって力を持ったんだ。

みんな素敵なのだけれど、私は魔術師がとても好きだ。

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