『あの花の咲く丘で、君とまた出会えたら』を社労士受験生的に考えてみたら
映画の内容とは直接関係なく、レビューでもありません。
「あの花の咲く丘で、君とまた出会えたら」を、社労士受験生的に考えてみようと思います。
まず、主人公の女子高生境遇は、母子家庭ということ。
その境遇からくる経済事情を踏まえ、その子は大学進学を半ば自重気味に諦めようとします。
父親は、川で溺れた子供を助けようとして亡くなった。同じようなシチュエーションが某アニメでもあったような気がしますが、それはおいておいて。
今回整理してみたいのは、遺族年金の話なので、必要な情報を整理してみます。
情報の整理
娘(福原遙) 高校3年生(つまり、卒業前)
母(中嶋朋子) 映画の中では年齢が明言されていないので、演じている中嶋朋子の年齢(52歳)とします。
父 死亡。細かい状況は明らかにされていませんが、普通の会社員と考えられます。妻と同年齢、あるいは3~4歳年上と考えます(つまり、65歳未満)。
遺族基礎年金
死亡者の要件
死亡当時、父親が普通のサラリーマンであったとしたら、国民年金の第2号被保険者として、「被保険者」であるものとして、保険料納付要件を満たす必要があります。
ただ、経過措置として、令和8年4月1日前に死亡した場合は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間に未納期間がなければ、保険料納付要件を満たしていることになります。
遺族の範囲
障害基礎年金を受給できるのは、子と整形を同じくする配偶者、子については18歳に達する以後の最初の3月31日までの間にあるもの、です。
2人とも遺族の範囲に含まれていることから、母親に対する支給額は次のとおりです(簡便化のため、改定率は省略します)
支給額
基本年金額:780,900円
1人目の子に対する支給額:224,7000円
合計額:1,005,600円
遺族厚生年金
死亡者の要件
これも、遺族基礎年金と同じく、経過措置が適用され、要件を満たしていることになります(短期要件)。
遺族の範囲
上記のとおり妻は若年妻の失権事由に該当する年齢ではないため、支給対象となります。
支給額
老齢厚生年金の報酬比例部分の額×3/4で計算されます。平均標準報酬月額が35万円だとすると、遺族基礎年金は369,968円になります。
ですので、遺族基礎年金と遺族厚生年金をあわせると、1,375,568円ですね。
母親は、昼はスーパーマーケットでパートとして働いています。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2023年度の パートの1月あたりの平均給与額は10万4,567円です。年間で120万円程度になります。
これに加えて、夜もパートで働いているとのことですが、昼間のパートの半分程度と考え、年額60万円と見積もると、年間総収入は310万円です。
総務省統計局が公表している「2021年度 家計調査 世帯類型別」によると、シングルマザーの生活費は月額平均24万円前後となるようなので、年間で288万円ですね。
つまり、収入も支出も約300万円となるため、確かに生活に余裕はなさそうです。
今回不明なのは、父親の死亡保険金があるのかどうか、ですね。これがあれば、だいぶ状況は変わると思います。保険金がないのであれば、奨学金の利用を検討することになると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?