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小屋探訪記(1)「焚火の小屋POLO」@北軽井沢スウィートグラス

キャンプ場で泊まる初めての小屋

キャンプ場で小屋に泊まるのは自分の甘えなのではないか。インスタグラムやフェイスブックなどのSNSでテントを張ってキャンプを楽しんでる写真などを見かけるたびに思えてしまう。そういった概念を押さえつけながら、アウトドアをノンストレスに、そして気楽に過ごす方法を探すため小屋に泊まる選択肢をとった。
第一回目の探索は北軽井沢スウィートグラスにある「焚火の小屋POLO」(以降愛情を込めてPOLOという)である。北軽井沢スウィートグラスはキャンプサイトとしては珍しくかなりの小屋を配備してる。ここでは「コテージ」と「キャビンあるいはツリーハウス」という2つのタイプで紹介されている。大きな違いとして、「コテージ」は家としての設備と断熱性があり、「キャビン等」は設備は調理台程度という区分分けとなる。

絵本の中の小屋

POLOに宿泊することを決めた理由は公式サイトのキャビンリストを眺めていたときに感じた「小屋らしさ」としかいいようがない。小屋と聞くと家よりクラフト感があり、ある種のセルフビルド的な手軽さをイメージすることができる。
POLOは公式サイトでは以下のような写真が公開されていた。こういう写真を見て、雑木林の中にどこか納得感を覚える小屋の姿を感じた。

公式サイトの紹介写真

この小屋をみてどこか懐かしさを感じるのは、まるで絵本の挿絵のような佇まいだからではないだろうか。例えばこれが「赤ずきんのおばあちゃんの家」のモデルと言われればそう見えなくもない。雑木の中に佇む家、森の中の小屋として納得感を覚えるとはそういうことである。何か過去の脳裏に焼き付いていた「小屋」のイデア的存在を感じたのだ。

筆者が訪れたときのPOLO

 初めて訪れたのはとある夏の猛暑日であった。それこそ北軽井沢でも35℃近くまで気温が高くなり、日本全国で40℃を超える地域が多発した頃だった。夏の鋭い日差しが木々の間に挿し込み、木漏れ日のあふれる夏の一幕を象徴するような日である。この夏の北軽井沢は避暑とならず、避「猛」暑に留まった。しかしその姿はまた「らしさ」を留め、滞在の喜びを一目から感じさせてくれた。

非自宅的住居としての小屋

このPOLOという小屋は2室とテラスである。三段上がった玄関をあけるとタイル土間キッチンとロフト付き小上がりの部屋がある。トップライトのある屋根には葉っぱが溜まりやすく、屋根の上に広がる雑木の環境を頭上に感じることができる。土間には薪ストーブとローテーブルにキャンプチェアが備え付けられ、冷え込みのある夜などの自然環境の厳しさを感じる日に建屋の中にある安心感を肌身に感じることができる。

キッチンから見た土間のある部屋
小上がりから見た土間のある部屋

土間には段差なく通じるテーブルのある部屋が隣にある。引き違い戸で入るこの部屋はキャビネットフックで施錠する簡易な鍵があり、家では考えられないほどのシンプルなセキュリティで仕切られてる。土間から土足であがることになる板間のテーブルのある部屋は、土禁が基本となる日本の家とは違う別の暮らしを彷彿させる。テーブルには備え付けベンチと木製の椅子が2つある。窓が一つあり、小屋の裏手にある雑木の風景を切り取ってくれる。キャビネットフックで仕切られた土間の先にあるテーブル空間はどこか別の価値観に基づく異国感がある。

テーブルのある部屋

 テーブルのある部屋には3枚の引き違い掃き出し窓(異国感があるならあえて引違い戸と呼ぶべきか)があり、焚き火炉のある土間テラスに至る。一段低い土間テラスは「小屋の外に出た」と感じさせ、自然環境に一歩降り立ったことを本能的に理解させる。このテラスは大人の胸の高さに至る腰壁で覆われ、他のキャンプサイトから覗かれにくいように設えられたプライベート空間であるため、外に出たものの小屋の領域に留まっているのだと言わんばかりである。しかしこの胸の高さの腰壁は、用意された焚き火チェアに座ると、目線の先に周囲の網目のように複雑に絡み合う雑木の枝葉がよく見える。

焚き火炉のある土間テラス

この小屋は土間のある部屋をリビングキッチン、テーブルのある部屋をダイニング、焚き火炉のあるテラスをベランダと呼べば普通に家に聞こえる。しかし、そう呼ばせないように仕組まれたような計画は自宅には到底なりえない住居として、自然から身を守る小屋の在り方を教えてくれたような気がする。

北軽井沢を見下ろす道中の景色はPOLOにまた誘ってるように感じた

(参考)北軽井沢スウィートグラス公式ウェブサイト



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