ふくろう多門のビデオレター 新年のご挨拶

土木学会会長 上田 多門が会長プロジェクトの活動、「ふくろう多門の土木対談」の内容などを紹介する「ふくろう多門のビデオレター」。

2023年の初回は「新年のご挨拶」をお送りします。

上田会長に直接に意見や質問ができる「多門に多聞&多問」を開設しております。ぜひ皆さまからのご意見、ご質問をお寄せください!
https://committees.jsce.or.jp/chair/node/59

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新年おめでとうございます。半年余り前の就任のご挨拶で申し上げました、世紀的な二つの事態すなわち新型コロナによるパンデミックとウクライナ情勢はいまだに終結の糸口は見えていません。決して晴れがましい気分で新年を迎える状況ではないようです。

しかし、長い歴史からも明らかなように人間の英知が、これらの困難を乗り越えていくことが期待されます。土木学会会長という立場上、他の学協会の方々と意見を交わすことが多くあります。国内外を問わず、ほとんどの学協会が今世紀のグローバルな課題である。

持続可能な開発目標、すなわちSDGs。特に脱炭素化に関心を示しています。建設分野の内外の識者が指摘するようにSDGs、あるいは脱炭素化の達成にはインフラ施設が大きな役割を果たします。種々のインフラの構築により貧困撲滅、教育機会の提供、ジェンダー差別の解消など多くのSDGsへ貢献いたします。

一方、全二酸化炭素排出量の3分の1程度が構造物の構築やその維持補修という建設工事からのものでもあります。また従来あまり注目されていないようですが、二酸化炭素貯蔵施設や再生エネルギー生産施設はインフラ施設そのものであり、脱炭素化に向けて不可欠なものでもあります。土木学会といたしましては、これらの点を自覚し、国内外で主体的な役割を果たしていく必要があります。

そのためにもグローバルな課題を国内外で取り組む土木技術者、研究者、あるいは政策担当者が必要であります。日本国内の土木人材の実力をグローバルな視点で把握してより多くの人材が育つための環境づくりも必要です。

土木学会はこの点で、種々の方策を立て現在実行中で、今後も続けてまいります。例えば土木学会誌2023年1月号においても「世界から見た日本の土木」という特集を組み、海外からの視点で日本の土木の実力を捉えるという企画を掲載しています。

SDGsあるいは脱炭素化の達成に向けて、日本の土木技術を日本国内だけでなく世界各国で生かすために若手・女性・外国人を含む、より多くの国内土木関係者がグローバルに活躍することを期待しています。本年も土木学会を活用していただき、土木関係者が国内外で社会貢献をしていただければ大変幸いであります。

土木学会を本年もよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/