遊びを分解する【ボードゲーム】

Yukoです。絶叫系が結構好きです。しばらく乗っていなかったら軽く酔うようになりました。悲しいです。

ロジェ・カイヨワというフランスの学者がいるのですが、著書『遊びと人間』の中で、遊びを4つの要素に分けています。これを通してボードゲームってすごい、と改めて思ったので、簡単に説明してみます。

彼によれば、遊びは以下の4つに分類されます。
・アゴン(競争)
・アレア(偶然)
・ミミクリ(模倣)
・イリンクス(眩暈)

さらにその4種類についてパイディア(遊戯)からルドゥス(競技)までグラデーションが存在します。
パイディアに近いほど原始性が増し、ルドゥスに近いほど嗜好性が増すと定義されており、ボードゲームはパイディアよりです。(ほとんどの場合、複雑性が増すほど、認知負荷が増えてパイディアの要素が強くなります。)

ちなみに、絶叫系は主にパイディア寄りのイリンクス(+たまにミミクリ)に分類されます。

さて、ボードゲームは他者(あるいは何らかのメカニズム)と競うため、アゴンの要素をみたします。
チェスやオセロなどのアブストラクトゲームを除き、ゲームに揺らぎを生み出す要素として、アレアの要素を含みます。
テーマを乗せたゲームは、プレイヤー自身がゲームの表象に組み込まれるため、ミミクリの要素を満たします。(ノンテーマであってもそのゲームの世界観に身を置くという部分である種現実の追随あるいは模倣と考えることもできそうです。)
最後のイリンクスだけは「テーブルトップ」ゲームであるが故に要素を満たすのが難しくなります。(Call of Cthulhuというゲームではプレイヤーが狂気を演じる部分があるため、プレイヤーがフローに入ればある種のイリンクスとも呼べるでしょうか。)

一般に、先の4つの要素を満たせば満たすほど、(多少の強弱はあるものの)遊びとしての面白みは増すと言われますが、それに従えば、世に存在する多くのボードゲームは4つのうち3つの要素を満たすと言えます。

ボードゲームデザインにおいて、偶然性(アレア)は「リプレイ性」「ゆらぎ」「プレイヤーレベルの均衡化」など、テーマ性(ミミクリ)は「没入観」「ルール導入の簡略化」などで語られますが、こうした切り口で見ると、ボードゲームの発展は非常に理にかなっている、と言うことができそうです。

遊びを分解することで、その面白さが見えてくる。
あるいは、新しい面白さを認識し、ゲームの楽しみ方が変化する。

「楽しい」の細分化はゲームをより面白くします。

要素の細分化で新しい世界が開けてくるのは、嬉しく楽しいものですね。

Thank you for reading!
(February 9, 2022)

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