書評:東京エリア戦略

コロナウィルスやそれ以前から続くEC化の流れにより、商業施設にはかなり逆風が吹いている状況です。これまで以上にリアル店舗であることの必然性が問われると思いますし、その価値を示すことができない施設は淘汰されてしまうでしょう。

そんな中で、どのような店舗が生き残るのか、ビジネスモデル及びエリア戦略の視点から考察した書籍がこちらです。実際のブランドや店舗名、エリアなどを例示しているので、非常にイメージが沸きますが、一方で内容としては薄かったなというのが正直な印象です。

<1章:数字と計算だけではもう勝てない>
人口といっても昼間と夜間人口(居住人口)、生産年齢人口など=質がある
人口の質に加えて、エリアのイメージを重視した戦略が大事
目指すテイクアウト:イートイン比率も出店エリアや店舗面積に影響
飲食×ブランドのコラボもトレンド(Mercedes, dunhill etc.)
ターゲットを定め、業態やブランドを変えつつ、面で活動エリアを抑える
既存ブランドの顧客を、別ブランドで攻める
全方位よりもターゲットを明確に絞ったコンセプトの店舗が生き残る
顧客も徐々に年を取るので、その時にどうするか?
スーパーの商圏は3km。逆に近接していても客層が違えば競合しない

<2章:新ビジネスモデルとエリア戦略>
テイクアウトが多いと、店舗面積エリアあたりの売上を伸ばせる
まずはリアル店舗でのファンを増やすことがデリバリ売上につながる
共働きなどでジムとコインランドリーは出店場所が変わった(cf. Anytime)コンビニは40-50坪が最低面積の目安
たい焼き・たこ焼き屋は吸引力低だが立ち食いができて、万人受け
→ 目立つところに小規模(1桁坪)で出店
新しいコンセプトはまず感度が高い街へ出店(cf.スタバの出店場所)
似たような顧客層をターゲットとする店舗がどこか考え、出店の参考に
意思決定者が多く住むエリアに出店する(介護施設など)
商業施設は駅から離した方が、周辺の商圏は広くなる

<3章:変化する東京23区>
中央線沿線は都内で最も一人暮らし世帯比率が高い
同業種の出店が重なることで相乗効果が期待でき、エリアとしてパイが拡大
可処分所得の大きなファミリーは個別指導塾や教室などの出店場所を見る
世田谷の三宿はブームになったが、駅距離と当該駅の周辺昼間人口が×
人が集まるエリアにすることが肝要

<4章:エリア戦略の実はとあえて>
業種とイメージが紐づくエリアがある。神保町・千駄ヶ谷・神谷町など
繁華性があっても観光地ではチェーン店は流行らない
大企業の誘致により発展し新たな商圏が発生することも(e.g.青物横丁)
北区は賃金は東京、物価は埼玉で住みやすい(出店には▲)
全ての人がスタバを求めているわけではない、ペルソナをどう設定?
逆転の発想でエリアから業態を考える
地方は複数世帯で一緒に住む結果、実は世帯年収は高い

<5章:ブームとエリアの切っても切れない関係>

ブームの始まりは原宿
やりたいと思った時に、すぐに道具が手に入る環境(モンベルの出店戦略)
日本人の好みは多様化している
スカイツリーの周辺が盛り上がらないのは、
 (1) 駅から他に行きたいと思うスポットがなく
 (2) 近隣駅にほかに魅力的な場所があるから

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