マガジンのカバー画像

蹄鉄図鑑

14
競走馬の蹄鉄(ていてつ)について、橋浜保子が解説します。
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

蹄鉄図鑑 ~シガフース蹄鉄~

橋浜保子です。 シガフース蹄鉄(接着装蹄) 脚元コード:「083」 JRDB表記 「シ」「シガフース蹄鉄」 photo by Rumi Enokida *装着時の写真と見比べていただきやすいように、  横向きの単体写真は、画像の左右を反転させました。 蹄釘(ていちょう)が知覚部を圧迫するのを気にする馬などに使用します。 通常の接着装蹄に比べて、蹄機作用を損いません。また、厚みがあるので、蹄底に負荷が掛かりにくいのも特徴のひとつです。 ただし、シガフース蹄鉄は簡

蹄鉄図鑑 ~落鉄(らくてつ)しかけ~

橋浜保子です。 調教やレースでの落鉄(らくてつ)については、前回、ご説明しました。 中には、蹄から蹄鉄が完全に外れずに、ズレたままレースから戻ってくるケースもあります。 これは、同じ馬が、未勝利戦のレース後に落鉄しかかっている写真です。 photo by Rumi Enokida 左後肢の蹄壁(ていへき)が欠損しており、蹄鉄がズレていることがわかります。 2枚目は、蹄から外れてしまった蹄釘(ていちょう)の様子もわかる、貴重な写真です。 このケースでは、蹄壁にダメ

蹄鉄図鑑 ~落鉄(らくてつ)~

橋浜保子です。 photo by Rumi Enokida 落鉄とは、蹄鉄が蹄から外れて落ちてしまうことを言います。 原因として挙げられることを、以下に列挙します。 調教・レース ・裂蹄(れってい)や蟻洞(ぎどう)などで蹄壁(ていへき)が傷んで亀裂(きれつ)が入ったり、欠損している状態で走っていると、蹄釘(ていちょう)が緩みます。 ・左前肢と右前肢がぶつかる(交突・こうとつ) ・後肢で前肢を引っ掛ける(追突・ついとつ) ・一緒に走っている他の馬の脚とぶつかる

蹄鉄図鑑~ ヒールパッド ~

橋浜保子です。 ヒールパッド JRDB表記:「ヒP」「ひ」 脚元コード:「076」 photo by Rumi Enokida 蹄底(ていてい)と蹄鉄の間に挟んだ、ウレタン製のパッドです。 主に屈腱炎や、蹄叉腐爛(ていさふらん)、蹄底が傷ついている馬などに使用します。 鉄橋蹄鉄と見間違いやすいので、注意なさってください。 見分け方 パッドを蹄鉄の下に装着しているのが「ヒールパッド」 ヒールパッド 鉄橋(鋼片)を蹄鉄の上に渡してあるのが「鉄橋蹄鉄」 鉄橋

蹄鉄図鑑~リバーシブル蹄鉄~

橋浜保子です。 リバーシブル蹄鉄 JRDB表記:「リ鉄」「リ」 脚元コード:「077」 photo by Rumi Enokida  兼用蹄鉄の上下を逆にして装着した蹄鉄です。 連尾(れんび)蹄鉄と同様に、主に、屈腱炎の馬に使用します。 リバーシブル蹄鉄の使用頻度は極めて低いですが、脚元に不安を抱えていることを表す特殊蹄鉄のひとつです。

蹄鉄図鑑~連尾(れんび)蹄鉄~

コンテンツ一覧はこちら 橋浜保子です。 連尾(れんび)蹄鉄 JRDB表記:「丸鉄」 脚元コード:「013」 photo by Rumi Enokida 通称「丸鉄」。 アルファベットの「O」の字形をしている、鉄尾(てつび)の両端を繋げた蹄鉄です。 連尾蹄鉄は、主に、屈腱炎を発症した馬や、裂蹄(れってい)を患(わずら)っている馬に使用します。 裏筋への不安を軽減する効果が高いのが特徴です。 能力が高い馬が下級条件戦で好走するケースもありますが、クラスが上がる